Nielsen, Carl August

カール・ニールセン

ニールセン (別名:ネルセン)
Nielsen, Carl August
1865年06月09日~1931年10月03日
[デンマーク] [作曲家]

[カール・ニールセン 人物情報]

デンマークを代表する作曲家。1865年ペンキ職人の子としてノーレ・リュンデルセに生まれる。音楽の趣味があった父の影響で6歳からヴァイオリンを演奏した。14歳でデンマーク第3の都市、オーデンセの軍楽隊のメンバーとなる。1884年コペンハーゲンの音楽院に入学。1889年ヨハン・スヴェンセンのもとで王立劇場オーケストラのヴァイオリン奏者として活動。1908年スヴェンセンの引退により、王立劇場学長に就任。なお、現在の100デンマーククローネ札の肖像となっている。

Wikipediaの人物情報

カール・ニールセン(またはニルセン、またはカルル・ネルセンCarl August Nielsen, 1865年6月9日 - 1931年10月3日)は、デンマークの作曲家である。

デンマークでは最も有名な作曲家であり、現在のデンマーク100クローネ紙幣にその肖像が描かれている。死後半ば忘れ去られていた時期もあったが、戦後再評価が進み、単に同国を代表する作曲家としてだけではなく近代クラシック音楽における重要な交響曲作家の一人として認知されるに至った。

同国の作曲家に(1876年1月29日 - 1939年10月16日)がいるが別人である。同年生まれの北欧の作曲家に、フィンランドのジャン・シベリウスがいる。(ちなみにアルベリク・マニャールはニールセンと全く同じ日に生まれている。)

6つの交響曲(特に交響曲第4番 (ニールセン)、交響曲第5番 (ニールセン)が知られる)のほかに3つの協奏曲、管弦楽曲、オペラ、室内楽曲、芸術歌曲を手がけた。一方大衆向けの歌曲・合唱曲を数多く残し、これらは今日もデンマークの学校や家庭などに広く普及し、歌われている。

生涯

  • 1865年 フュン島のノーレ・リュンデルセに生まれた。ハンス・アンデルセンの出身地オーデンセから12kmほどはなれた農村地帯である。父ニルス・ヨアンセンはペンキ職人で、兄弟は12人の大世帯で貧しい生活だったが、音楽の趣味があった。
  • 1871年(6歳) この頃から、父の楽団に入りヴァイオリンを弾くようになった。
  • 1879年(14歳) オーデンセの軍楽隊に欠員が出たため応募し、わずか1ヶ月の練習で合格した。この時はホルンとトランペットを扱った。
  • 1884年 コペンハーゲンの音楽院をヴァイオリンで受験したが不合格。作曲家のニルス・ゲーゼに作品を見せることによって作曲科に合格が許された。音楽院時代にはヴァイオリン・ソナタ、弦楽四重奏曲などの習作を手がけた。
  • 1888年 卒業後に「弦楽四重奏曲第1番」、「弦楽五重奏曲」、「小組曲 (ニールセン)」などの作品を発表する。翌年にかけて交響曲に試みるが挫折。その第1楽章が「交響的ラプソディ」となった。
  • 1889年 王立劇場オーケストラのヴァイオリン奏者となり、ヨハン・スヴェンセン(Johan Svendsen, 1840年 - 1911年)のもとでオーケストラの活動が始まった。
  • 1891年 パリでアンネ・マリー・ブローデルセン(彫刻家)と出会い、結婚。
  • 1892年 交響曲第1番 (ニールセン)を完成。作曲家として順調な活動を開始した。
  • 1901年 4幕からなる歌劇『サウルとダヴィデ』を完成。
  • 1902年 交響曲第2番 (ニールセン)を発表。
  • 1903年 ギリシャを旅し、エーゲ海の日の出に感激して序曲『ヘリオス (ニールセン)』を作曲した。
  • 1906年 2作目の歌劇『仮面舞踏会』、「弦楽四重奏曲第4番」を発表。
  • 1908年 スヴェンセンが王立劇場楽長を引退し、その後を引き継いだ。
  • 1911年 交響曲第3番 (ニールセン) 、ヴァイオリン協奏曲 (ニールセン)を完成。
  • 1914年 第一次世界大戦のため王立劇場楽長を辞任。
  • 1915年 王立コペンハーゲン音楽院の理事に就任。音楽協会で指揮者として活動した。
  • 1916年 交響曲第4番 (ニールセン)を完成。ピアノ曲「シャコンヌ (ニールセン)」、「主題と変奏 (ニールセン)」を発表。
  • 1922年 交響曲第5番 (ニールセン)、木管五重奏曲 (ニールセン)を完成。このころより作風が変化し、より難解で内向的なものになっていく。
    • 木管五重奏曲 (ニールセン)はコペンハーゲン管楽五重奏団のために書かれ、メンバー全員のために5つの協奏曲を書くことも計画していたが、作曲者の死によりフルート協奏曲 (ニールセン)(1926年)とクラリネット協奏曲 (ニールセン)(1928年)の2曲で終わった。
  • 1925年 交響曲第6番 (ニールセン)を完成。
  • 1931年 オルガン曲「コンモツィオ」完成。王立コペンハーゲン音楽院の院長に就任。逝去。

代表的な作品

交響曲

  • 交響曲第1番 (ニールセン) (1891-92,op.7,FS.16)
  • : 4楽章制であり、第1楽章提示部には繰り返しを記しているなどかなり古典的なスタイルに拠っている。一方では、ト短調の作品にも関わらず第1楽章冒頭の和音がハ長調であるなど、後の「進行性移調」に通じるようなニールセンの調性に対しての自由さも垣間見ることができる。全体の構成や楽器用法にはブラームスの影響がかなり見られる他、中間楽章の牧歌的な部分などにはスヴェンゼンやゲーゼの影響が大きい。この曲のみはスヴェンセンによって初演が行われた(以後の交響曲の初演はすべて作曲者の指揮による)。
  • 交響曲第2番 (ニールセン) (1901-02,op.16,FS.29)
  • : ニールセンが夫人や友人と共に村の居酒屋でビールを飲んでいた時に目撃した、人間の四気質をテーマにしたコミカルな絵にインスピレーションを得て作曲されたと言われている。4つの楽章にはそれぞれ四気質に基づく発想記号が記され、この曲が標題音楽であるか否かが議論になる。同時期に作曲された歌劇『サウルとダヴィデ』と作曲手法や表現の点で共通点が見られる。
  • 交響曲第3番 (ニールセン) (1910-11,op.27,FS.60)
  • : コミカルな第2交響曲とは打って変わって、壮大で牧歌的な、いわばニールセンの田園交響曲である。第1楽章はベートーヴェンの英雄交響曲を思わせるような激しいトゥッティから始まる、アレグロ・エスパンシヴォ。ニールセン研究家のロバート・シンプソンが「競技的な3拍子」と評した強靭で生命力あふれる音楽である。第2楽章アンダンテ・パストラーレで、バリトンとソプラノのヴォカリーズが加わる。第3楽章はウィットの効いたスケルツォ、第4楽章では、ヨハネス・ブラームスの交響曲第1番 (ブラームス)の終楽章の主題と似た主題が力強く支配する。
  • 交響曲第4番 (ニールセン) (1914-16,op.29,FS.76)
  • : 6曲中最も有名で、ジャン・シベリウスの交響曲第7番 (シベリウス)のような単一楽章の交響曲であるが、古典的な4つの楽章に相当する部分が連続しながら、最後に第1楽章に相当する部分の第2主題が蘇るという構成を持つ。第1次世界大戦中の暗い時代に書かれた作品で、音楽と生命の不滅を高らかに歌い上げた交響曲である。
  • 交響曲第5番 (ニールセン) (1921-22,op.50,FS.97)
  • : 最も完成度の高い交響曲である。第4交響曲よりも戦争を内面的・精神的に深く扱った作品であり、独特な形式による2楽章構成を持っている。ニールセンのそれまでの交響曲の編成は、打楽器はティンパニのみという言わばブラームス路線であった。しかしこの第5交響曲では多彩な打楽器陣が用いられ、小太鼓にはアドリブのソロがあるなど重要な役割を担っている。第1楽章は2つの部分に分けられ、第2楽章は古典的な交響曲の4楽章に相当する4つの部分に分けられる。
  • 交響曲第6番 (ニールセン) (1924-25,FS.116)
  • : 古典的な4楽章による交響曲である。副題の通り簡潔で新古典派的な雰囲気を持つが、かなり複雑なフーガや室内楽的な楽器用法が随所に見られるし、内容も風刺や諧謔に富んだ手の込んだものである。第5交響曲以上に多彩な打楽器陣を必要とし、第4楽章には打楽器のみによる変奏もある。後のショスタコーヴィッチの交響曲第15番 (ショスタコーヴィチ)の先駆けとも言える交響曲である。

協奏曲

3つの協奏曲のうち、ヴァイオリン協奏曲はロマン派的な派手な曲だが、フルートとクラリネットの協奏曲は交響曲第6番 (ニールセン)とともに晩年に書かれており、曲想に共通性が見られる。クラリネット協奏曲が最も完成度が高いと言われている。
  • ヴァイオリン協奏曲 (ニールセン) (1911,op.33,FS.61)
  • : シベリウスのヴァイオリン協奏曲 (シベリウス)とは大分趣が異なり、賑やかで華々しい曲であるが、時折ロマン派音楽情緒のただよう旋律が含まれる。2楽章からなり、第2楽章の冒頭はBACH主題が使われている。
  • フルート協奏曲 (ニールセン) (1926/27改訂,FS.119)
  • : 1926年に完成。これも2楽章構成である。トロンボーンを含む二管編成の管弦楽を用いるが、フルートとトランペットは用いられていない。室内楽風の軽妙な響きを持つ華やかな作品。トロンボーン、クラリネット、独奏ヴィオラにもソロが出現するなど、合奏協奏曲的な趣もある。
  • クラリネット協奏曲 (ニールセン) (1928,op.57,FS.129)
  • : 単一楽章形式による室内楽的な作品。弦楽以外にはファゴットとホルン各2、スネアドラムのみを用いる。独奏クラリネットの用い方はリズミカルで時に多調的であり、ジャズを思わせる部分すらある。小太鼓は副独奏者的な位置にある。

歌劇

  • 歌劇『サウルとダヴィデ』 (1898-1901,FS.25,全4幕)
  • 仮面舞踏会 (ニールセン) (1904-06,FS.39,全3幕)

管弦楽曲

  • 小組曲 (ニールセン)(1888, op.1, FS.6)
  • : 北欧的な叙情にあふれる弦楽合奏曲。音楽院を卒業してすぐの作品でありながら、今日でもたまに演奏の機会に恵まれている。
  • ヘリオス (ニールセン)(1903, op.17, FS.32)
  • : エーゲ海の日の出の印象を表現した演奏会用序曲。最も代表的な管弦楽曲。
  • サガの夢(1908年, op.39, FS.46)
  • : アイスランドの5大サガの一つ『ニャールのサガ』の一場面に基づいた交響詩。
  • パンとシリンクス(1917-18, op.49, FS.87)
  • : ギリシャ神話に基づいた交響詩。
  • アラディン (ニールセン)(1918-19, op.34, FS.89)
  • : 劇音楽より抜粋。

室内楽・器楽曲

  • 弦楽四重奏曲第1番 ト短調 (1887-88,op.13,FS.4)
  • : スヴェンゼンやゲーゼの影響の濃い作品
  • 弦楽四重奏曲第4番 (ニールセン) (1919,op.44,FS.36)
  • : 古典的な様式にのっとっているが、半音階的移行を多用する旋律やリズムなどにはニールセンの個性が表れている。改訂に伴い作品番号も変わっている。
  • 霧が晴れていく
  • : 劇音楽『母』(1920,op.41,FS.94)に使用されたフルートとハープのための小品で、単独で演奏される。
  • 木管五重奏曲 (ニールセン) (管楽五重奏曲) (1922,op.43,FS.100)
  • : 1920年から1922年にかけてコペンハーゲン管楽五重奏団のために作曲された。作曲の期間は交響曲第5番 (ニールセン)と重なり、最も創作意欲の充実していた時期の作品である。組曲風の軽妙で愉快な作品。
  • シャコンヌ (ニールセン) (1916,op.32,FS.79)
  • : シャコンヌの形式を採用したピアノ曲。
メディア

著作

  • Levende musik(生きている音楽) - 随筆集、1925年出版。
  • Min fynske barndom(我がフューン島の幼年時代) - 自伝、1927年出版。

録音

交響曲

ニールセンの交響曲全集の主な録音
ブロムシュテットとサンフランシスコ響との録音はおそらく、最も高い評価を受けている。
  • ヘルベルト・ブロムシュテット指揮デンマーク放送交響楽団(EMI)
  • ヘルベルト・ブロムシュテット指揮サンフランシスコ交響楽団(ユニバーサルミュージック)
  • ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー指揮ロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団(Chandos)
  • エサ=ペッカ・サロネン指揮スウェーデン放送交響楽団(Sony)
  • オスモ・ヴァンスカ指揮BBCスコティッシュ交響楽団(BIS)
  • オーレ・シュミット指揮ロンドン交響楽団(Regis)
  • ネーメ・ヤルヴィ指揮エーテボリ交響楽団(Dg Trio Series)
  • パーヴォ・ベルグルンド指揮デンマーク王立管弦楽団(Rca)
  • ミヒャエル(ミケール)・シェーンヴァント指揮デンマーク放送交響楽団 - DVD(dacapo)とCD(Naxos:以前dacapoからリリースされていたものの再発)がある。
  • テオドレ・クチャル指揮ヤナーチェク・フィルハーモニー管弦楽団
  • ダグラス・ボストック指揮ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団
  • エイドリアン・リーパー指揮アイルランド国立交響楽団(Naxos)
  • ブライデン・トムソン指揮ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団(Chandos)
  • サー・コリン・デイヴィス指揮ロンドン交響楽団(LSO Live:進行中)

また、レナード・バーンスタインは1,6番を除く2~5番を録音しており、1,6番のみを録音したユージン・オーマンディと合わせて交響曲全集として発売されていた。ヘルベルト・フォン・カラヤンは4番のみを録音している。

関連項目

  • カール・ニールセンの楽曲一覧
  • カール・ニールセン国際音楽コンクール
  • ロバート・シンプソン

参考文献

  • 作曲家別名曲解説ライブラリー18『北欧の巨匠』、音楽之友社、1994

外部リンク

日本語

外国語


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