Vermeer, Johannes

ヨハネス・フェルメール

フェルメール
Vermeer, Johannes
1632年10月31日~1675年12月15日
[オランダ] [絵画]

[ヨハネス・フェルメール 人物情報]

オランダの画家。写実的で劇的な画面構成、光と質感の巧みな表現が特徴。 1632年デルフトで生まれ、生涯のほとんどをこの地で過ごした。 歴史から忘れ去られた画家だったが、1866年に批評家トレ・ビュルガーによって再評価された。フェルメールは寡作であり、43歳で死去したため、現存する作品は少なく、36点(諸説あり)が残されているのみ。また、贋作も多い。 代表作は「マリアとマルタの家のキリスト」「牛乳を注ぐ女」など。

Wikipediaの人物情報

ヨハネス・フェルメールJohannes Vermeer, 1632年 - 1675年)は、17世紀にオランダで活躍した画家。誕生日、死亡日ともに不明。本名をヤン・ファン・デル・メール・ファン・デルフトJan van der Meer van Delft)という。後ろのファン・デルフトは「デルフトの」という意味で、彼が同名のアムステルダム在住の他人と間違えられないように付け加えたものである。父親の名前は、レイニエル・ヤンスゾーン・フォスといい、元々の姓はファン・デル・メールではなく、フォス(Vos)、英語ならFox、つまり狐を意味するものだった。父親はなぜそれをファン・デル・メールとしたのか、さらにその息子がそれを短縮してなぜ「フェルメール」としたのか、分かっていない。レンブラント・ファン・レインと並び17世紀のオランダ美術を代表する画家とされる。生涯のほとんどを故郷デルフトで過ごした。

最も初期の作品の一つ『マリアとマルタの家のキリスト』(1654-1655頃)に見られるように、彼は初め物語画家として出発したが、やがて1656年の年記のある『取り持ち女』の頃から風俗画へと転向していく。静謐で写実的な迫真性のある画面は、綿密な空間構成と巧みな光と質感の表現に支えられている。

現存する作品点数は、研究者によって異同はあるものの33~36点と少ない。このほか記録にのみ残っている作品が少なくとも10点はあるが、記録に残っていない作品を勘案しても22年の画歴に比してやはり寡作というべきだろう。

生涯

1632年にデルフトに生まれる。誕生日不明。同年10月31日にデルフトで洗礼を受けた。絹織物職人として活動するかたわら居酒屋・宿屋を営んでいた父は(このあたりからフォス姓を捨て、ファン・デル・メール姓を使用している)、ヨハネス誕生の前年に画家中心のギルドである聖ルカ組合に画商として登録されている。10年後の1641年にはフェルメールの家として知られるメーヘレンを購入し、転居した。

フェルメールは1653年4月5日、カタリーナ・ボルネスという女性と結婚したが、彼の父に借金があったことや、彼がカルヴァン派のプロテスタントであるのに対して、カタリーナはカトリックであったことなどから、当初カタリーナの母マーリア・ティンスにこの結婚を反対された。デルフトの画家、レオナールト・ブラーメルが結婚立会人を務めている。この8カ月後に聖ルカ組合に親方画家として登録されているが、当時親方画家として活動するには6年の下積みが必要だったため、これ以前に誰かの弟子として修業を積んだはずだが、誰の弟子となったのか不明。カレル・ファブリティウスとの説もあるが、確証がない。修業地はデルフト以外の場所だった模様。新婚当初は「メーヘレン」にて生活していたが、しばらくしてカタリーナの実家で大変裕福な母親とともに暮らしを始めている。この理由はよくわからないが、カレル・ファブリティウスも命を落とし、作品を大幅に焼失させた1654年の大規模な弾薬庫の爆発が原因とする説がある。彼らの間には15人の子供が生まれたが、4人は夭折したが、それでも13人の大家族であり、どんな溢れる才能があっても今も昔も変わらないが、絵筆一本では食べていけなかったため、裕福な義母マリアに頼らざるを得なかったと思われる。

父親の死後、1655年に実家の家業を継いで、居酒屋・宿屋でもあった「メーヘレン」の経営に乗り出している。こういった収入やパトロン、先述の大変裕福だった義母などのおかげで、当時純金と同じほど高価だったラピスラズリを原料とするウルトラマリンを惜しげもなく絵に使用できた。また、この年の9月20日ピーテル・デ・ホーホが聖ルカ組合に加入したことで、デ・ホーホとの親密な付き合いが始まった。この2人はのちに「デルフト派」と呼ばれるようになる。他のオランダの都市に比べて、この時代のデルフトの美術品・工芸品はよりエレガントな傾向があるが、それはデルフトの上品な顧客層やオランダ総督を務めたオラニエ=ナッサウ家の宮廷があるデン・ハーグに近く、宮廷関係の顧客の好みが作風に反映されていたからで、フェルメールやデ・ホーホも洗練された画風の静寂な作品を描いている。

1657年から彼は生涯最大のパトロンであり、デルフトの醸造業者、投資家でもあるピーテル・クラースゾーン・ファン・ライフェンに恵まれた。このパトロンはフェルメールを支え続け、彼の作品を20点所持していた。彼の援助があったからこそ、仕事をじっくり丁寧にこなすことができ、年間2,3作という異常な寡作でも問題なかったのである。

(1730年ごろに出版された銅版画)

の聖ルカ組合の理事たち』(1675年)

1662年から2年間、最年少で聖ルカ組合の理事を務め、また1670年からも2年間同じ役職に就いている。2度にわたって画家の組合である聖ルカ組合の理事に選出されるのは大変珍しいことであり、生前から画家として高い評価を受けていたことが伺われる。

レンブラントの時代はバブル景気に沸いていたが、1670年代になると、画家兼美術商である彼にとって冬の時代が始まった。第3次英蘭戦争が勃発したことでオランダの国土は荒れ、経済が低迷していったことや、彼とは違った画風をとる若手画家の台頭によって彼自身の人気が低迷していったことが原因である。追い打ちをかけるように、この頃に最大のパトロン、ファン・ライフェンも亡くなっている。戦争勃発によって彼の義母はかつてほど裕福でなくなり、オランダの絵画市場も大打撃を受けた。戦争勃発以降、彼の作品は1点も売れなくなった。市民社会の流行の移り変わりの激しさには、レンブラントも泣かされている。ちなみに、この打撃によってオランダの画家数は17世紀半ばと17世紀末を比べると、4分の1にまで減少している。

まだ未成年が11人の子供のうち、8人いたため(当時の未成年は25歳未満を指した)、大量に抱えた負債をなんとかしようと必死で駆け回ったが、とうとう首が回らなくなり、1675年にデルフトで死去した。12月15日に埋葬されたとの記録がある。死亡日不明。没年齢42,3歳。彼の死後、カタリーナには一家を背負う責任がのしかかったが、結局破産した。同郷同年生まれの織物商であり博物学者としても知られ、顕微鏡を発明したアントニ・ファン・レーウェンフックが死後の遺産管財人となった。破産したため、彼の妻カタリーナは過酷な生活を送る羽目となったが、その母マーリアは彼の莫大な負債から孫を守ろうとして直接その遺産を手渡したため、その生活を改善してやることはできなかった。1680年には義母マーリアも死去し、彼の死後12年経った1687年、56歳でカタリーナも息を引き取った。

絵画技法

人物など作品の中心をなす部分は精密に書き込まれた濃厚な描写になっているのに対し、周辺の事物はあっさりとした描写になっており、生々しい筆のタッチを見ることができる。この対比によって、見る者の視点を主題に集中させ、画面に緊張感を与えている。『レースを編む女』の糸屑の固まり、『ヴァージナルの前に立つ女』の床の模様などが典型的な例として挙げられる。

フェルメールは、描画の参考とするため「カメラオブスキュラ」という一種のピンホールカメラを用いていたという説がある。

彼の用いた遠近法については、日本放送協会制作のドキュメンタリー「フェルメール盗難事件」にて別の研究成果が紹介されていた。まず、絵の一部に消失点となる点を決め、そこに小さな鋲のようなものを打つ。次に、その鋲にひもを結びつけてひっぱる。このとき、このひもにチョークを塗り、大工道具の墨壺のような原理で直線を引く。この線と実際の絵を比較すると、窓やテーブルの角のラインが一致している。フェルメールの17の作品において鋲を打っていたと思われる場所に小さな穴があいていることからもこの手法がとられていた可能性は高い。

少女の髪や耳飾りが窓から差し込む光を反射して輝くところを明るい絵具の点で表現している。この技法はポワンティエ(pointillé)と呼ばれ、フェルメールの作品における特徴の1つに挙げられる。

また、フェルメールの絵に見られる鮮やかな青は、フェルメール・ブルーとも呼ばれる。この青は、天然ウルトラマリンという顔料に由来している。

主な作品

-1660年)

  • 「マリアとマルタの家のキリスト」(1654-1655頃) - スコットランド国立美術館、エディンバラ
  • 「取り持ち女」(1656) - アルテ・マイスター絵画館、ドレスデン
  • 「牛乳を注ぐ女」(1658-1660頃) - アムステルダム国立美術館、アムステルダム
  • 「紳士とワインを飲む女」(1658頃) - ベルリン美術館、ベルリン
  • 「兵士と笑う女」(1658頃) - フリック・コレクション、ニューヨーク
  • 「小路」(1658頃) - アムステルダム国立美術館
  • 「窓辺で手紙を読む若い女」-(1659頃)-アルテ・マイスター絵画館
  • 「デルフト眺望」(1660-1661頃) - マウリッツハイス美術館、デン・ハーグ
  • 「二人の紳士と女」(1660頃) - アントン・ウルリッヒ美術館
  • 「音楽の稽古」(1662-1665頃) - 王室コレクション、バッキンガム宮殿
  • 「リュートを調弦する女」(1663-1665頃) - メトロポリタン美術館、ニューヨーク
  • 「真珠の耳飾りの少女(青いターバンの少女)」(1665年頃) - マウリッツハイス美術館、ハーグ
  • 「手紙を書く女」(1665-1666頃) - ナショナル・ギャラリー (ワシントン)、ワシントンDC
  • 「絵画芸術」(1666-1667頃) - 美術史美術館、ウィーン
  • 「女と召使」(1667頃) - フリック・コレクション、ニューヨーク
  • 「地理学者」(1669頃) - シュテーデル美術館、フランクフルト・アム・マイン
  • 「レースを編む女」(1669-1670頃) - ルーブル美術館、パリ
  • 「手紙を書く女と召使」(1670) - アイルランド国立美術館
  • 「ヴァージナルの前に立つ女」(1673-1675頃) - ナショナルギャラリー (ロンドン)、ロンドン
  • 「ヴァージナルの前に座る女」(1673-1675頃) - ナショナル・ギャラリー、ロンドン
  • 赤瀬川原平 『赤瀬川原平の名画探検 フェルメールの眼』 講談社、1998年、ISBN 978-4-06-209012-4
  • 尾崎彰宏 『西洋絵画の巨匠5 フェルメール』 小学館、2006年、ISBN 978-4-09-675105-3
  • 木村泰司 『名画の言い分 巨匠たちの迷宮』集英社、2009年、ISBN 978-4-08-781421-7
  • 朽木ゆり子 『フェルメール 全点踏破の旅』 集英社(集英社新書ヴィジュアル版)、2006年、ISBN 978-4-08-720358-5
  • 小林頼子 『フェルメール論』 八坂書房、1998年、ISBN 4-89694-416-X
    • 同書の増補版: 『フェルメール論 -神話解体の試み-』(増補新装版) 八坂書房、2008年7月、ISBN 978-4-89694-913-1
    • 同書の抜粋版: 『フェルメール -謎めいた生涯と全作品-』 角川文庫(角川文庫15324)、2008年9月、ISBN 978-4-04-391601-6
  • 小林頼子 『フェルメールの世界』 日本放送出版協会(日本放送協会ブックス870)、1999年、ISBN 4-14-001870-4
  • 小林頼子編著 『フェルメール -大いなる世界は小さき室内に宿る-』 六耀社、2000年、ISBN 4-89737-375-1
  • 小林頼子・朽木ゆり子 『謎解きフェルメール』 新潮社(とんぼの本)、2003年、ISBN 4-10-602104-8
  • 小林頼子 『もっと知りたいフェルメール -生涯と作品-』 東京美術(アート・ビギナーズ・コレクション)、2007年9月、ISBN 978-4-8087-0830-6
  • 小林頼子 『「牛乳を注ぐ女」 -画家フェルメールの誕生-』 ランダムハウス講談社、2007年10月、ISBN 978-4-270-00249-0
  • 星野知子 『フェルメールとオランダの旅』 小学館、2000年、ISBN 4-09-606053-4

その他

  • 『ユリイカ (雑誌) 特集フェルメール』、2008年8月号、青土社、ISBN 978-4-7917-0181-0。

関連項目

  • デルフト - フェルメールの故郷であるオランダ南部の都市。
  • ハン・ファン・メーヘレン - フェルメール作品の贋作事件で有名。
  • フェルメールの作品 - 作品一覧と解説。

外部リンク

1632年生まれの人物
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