フランスの画家。1780年モンバートンに貧しい画家兼彫刻家の子として生まれる。1797年、17歳でパリに出て古典派のダヴィドの弟子となる。1801年、「アキレウスのもとにやってきたアガメムノンの使者たち」でローマ大賞を得てローマ・フィレンツェに留学(1806?)。留学期間は2年だったが肖像画家として生計を立てながらイタリアに18年間滞在し、ラファエロなどのルネサンス画法を学んだ。帰国後は1825年レジオン・ドヌール勲章を受章、1829年には国立学校教授に就任、古典派の指導者として活躍した。1834年ローマのフランス美術学校校長に就任。形と線に鋭い感覚を持ち、古典派に新風を吹き込んだ。 代表作は「ヴァルパンソンの浴女」「横たわるオダリスク」「トルコ風呂」など。
![]() |
ドミニク・アングルアングル |
|---|
[ドミニク・アングル 人物情報]
Wikipediaの人物情報
Image:Jean Auguste Dominique Ingres 005.jpg
ジャン・オーギュスト・ドミニク・アングル(Jean-Auguste-Dominique Ingres, 1780年8月29日 - 1867年1月14日)は、フランスの画家。19世紀前半、当時台頭してきたウジェーヌ・ドラクロワらのロマン主義絵画に対抗し、ジャック=ルイ・ダヴィッドから新古典主義を継承、古典主義的な絵画の牙城を守った。
ラファエロ・サンティに対する極めて高い評価、入念に構成された調子の緊密な諧調、形体の幾何学的解釈など、師であったギョーム・ジョセフ・ロックの影響が濃厚。職務に追われた繁忙な時期にも屈指の傑作を描き上げている。ファイナルバーニッシュをも念頭に置いた平坦なテクスチャーは有名。入念に組み立てられたテクスチャーと徹底的に研鑽された描線、そして緊密な調子の諧調によって成立する空間は、「端正な形式美」を湛えている。この様式美はセザンヌによって「肉体を全く描かずに済ませた」と批判されるほど徹底している。
アングルの美術史理解はアングルの作品群から伺い知れるように公汎であり、且つ結束性が高く、加えて非常に示唆的である。顔料やバインダーの運用方法もまた多様であり、数百年の隔絶がある巨匠達の作品の研究にも余念がなかった。その研究の成果として、組織的且つ合理的な方法を「保存が完璧」『油彩画の技術 増補・アクリル画とビニル画 』 グザヴィエ・ド・ラングレ 著 黒江 光彦 訳 美術出版社 1974.1 ISBN 4568300304 ISBN 978-4568300307と讃えられる制作と言説によって的確にのこしている。
他方では、ポスト印象主義たちやキュビスト、現代美術の根底的な方法やアイデアに決定的な影響を与えており、アングル芸術の影響範囲、射程は底知れないものがある。アングルの作品に対する脚注は、美術作品によるものを含め、未だに途絶えることが無い。アングルの作品とその個性は、同時代の体制派、反体制派の必ずしも芳しくない評価にもかかわらず、影響は非常に甚大で、彼に先行する画家と彼に続く画家の代表作にさえ決定的な影響を与えた事例も少なくない。
生涯
フランス南西部のモントーバン近郊ムースティエに装飾美術家の子として生まれる。父親は美術家というよりは職人で、家具の装飾彫刻、看板描きから音楽まで手広く手掛けていた。アングルも幼少期から絵画とともに音楽も学んでおり、ヴァイオリン奏者としての一面もあった。実際、ニコロ・パガニーニと弦楽四重奏団を結成し、彼のスケッチを残している。
アングルは12歳の時、トゥールーズのアカデミーに入学。1797年パリに出て、新古典派の巨匠、ダヴィッドのアトリエに入門する。1801年『アキレウスのもとにやってきたアガメムノンの使者たち』で、当時の若手画家の登竜門であったローマ賞を受賞した。ローマ賞受賞者には、政府給費生として国費でのイタリア留学が許可されたが、アングルの場合は、当時のフランスの政治的・経済的状況のため留学が延期され、1806年にようやくイタリアのローマを訪れている。その後アングルは1824年までの長期間イタリアに滞在し、1820年まではローマ、以後1824年まではフィレンツェで活動している。この間、ラファエロ・サンティ、ミケランジェロ・ブオナローティなどの古典を研究し、生活のために肖像画を描きつつ、母国フランスのサロンへも出品していた。有名な『浴女』(1808年)、『グランド・オダリスク』(1814年)などはこの時期の作品である。
長いイタリア滞在の後、1824年、フランスに帰国。翌年レジオンドヌール勲章を受け、アカデミー会員にも推されている。10年ほどの母国での活動を経て、1834年(1835年とも)再びイタリアのローマを訪れ、そこでフランス・アカデミーの院長を務めた。1841年には再びパリへ戻る。この頃のアングルは祖国フランスでも押しも押されもせぬ巨匠と目され、パリ万国博覧会 (1855年)においてはアングルの大回顧展が開催された。
代表作の1つ『トルコ風呂』は、最晩年の1862年の制作である。円形の画面に退廃的・挑発的な多数の裸婦を描きこんだこの作品は、当時82歳の画家がなお旺盛な制作欲をもっていたことを示している。
作風
アングルは絵画における最大の構成要素はデッサンであると考えた。その結果、色彩や明暗、構図よりも形態が重視され、安定した画面を構成した。その作風は、イタリア・ルネサンスの古典を範と仰ぎ、写実を基礎としながらも、独自の美意識をもって画面を構成している。『グランド・オダリスク』に登場する、観者に背中を向けた裸婦は、冷静に観察すると胴が異常に長く、通常の人体の比例とは全く異なっている。同時代の批評家からは「この女は脊椎骨の数が普通の人間より3本多い」などと揶揄されたこの作品は、アングルが自然を忠実に模写することよりも、自分の美意識に沿って画面を構成することを重視していたことを示している。こうした「復古的でアカデミックでありながら新しい」態度は、同時代のダヴィッドなどのほか、近現代の画家にも影響を与えた。印象派のエドガー・ドガやピエール=オーギュスト・ルノワールをはじめ、アカデミック絵画とはもっとも無縁と思われるポール・セザンヌ、アンリ・マティス、パブロ・ピカソらの画家にもその影響は及んでいる。
当時発明された写真が「画家の生活を脅かす」として、フランス政府に禁止するよう抗議した一方、自らの制作に写真を用いていたことでも知られる。
ギャラリー
関連項目
- デッサン
- ウジェーヌ・ドラクロワ
- アントワーヌ=ジャン・グロ
脚注
参考文献
- 『油彩画の技術 増補・アクリル画とビニル画 』 グザヴィエ・ド・ラングレ 著 黒江 光彦 訳 美術出版社 1974.01 ISBN 4568300304 ISBN 978-4568300307
- 『セザンヌ』 ジョワシャン・ガスケ 与謝野 文子 1980年 求竜堂 ASIN: B000J7ZCN4
- 『カラー版 西洋絵画史WHO’S WHO』美術出版社、諸川 春樹 監修、1996.05、美術出版社 ISBN 4568400392 ISBN 978-4568400397
- 『カラー版 絵画表現のしくみ―技法と画材の小百科』森田 恒之監修 森田 恒之ほか執筆 美術出版社 2000.3 ISBN 4568300533
- 『巨匠に教わる絵画の見かた』 視覚デザイン研究所 編 1996.10 ISBN 4881081241 ISBN 978-4881081242
- ドミニク・アングル『ゼウスとテティス - 美術と歴史と語学 ーペネロペ ...今回取り上げる作品は、ドミニク・アングル作『ゼウスとテティス upload.wikimedia.org』です。 1. アキレスの造反 アキレスの愛人ブリセイスはアキレスの元を離れ、アガメムノンの陣中へと連れて行かれました。 アキレスは、アガメムノンの横暴 ...
- 【送料無料】絵画:ドミニク・アングル「ラ・グランド ... - 楽天ブログ - 楽天市場【送料無料】絵画:ドミニク・アングル「ラ・グランド・オダリスク」●サイズF12(60.6×50.0cm)●プレゼント・ギフト・風水にも人気な名画の絵画(
- ジャン=オーギュスト・ドミニク・アングルの「ドーソンヴィル伯爵夫人 ...フランス新古典派の巨匠、ジャン=オーギュスト・ドミニク・アングルの「ドーソンヴィル伯爵夫人」です。 ジャン=オーギュスト・ドミニク・アングル作 「ドーソンヴィル伯爵夫人」1845/ニューヨーク・フリック・コレクション 19世紀フランス美術界最大の ...
- ドミニク・アングル 1780-1867 | dig blogドミニク・アングル 1780-1867. 松本 知彦 for Private Time/2011.10.12/クリエーター クリエーター. Tweet; シェアする. アングルの作品では「泉」などが代表作として挙げられることが多いですが、アングルと言えば絶対的に素描です。 素描こそがアングルの ...
- 横須賀の某秘密結社の活動について 自由の女神像ドミニク・アングルによるジャンヌ・ダルク(ルーブル美術館) IMG_0168.jpg ワシントンD.C. Scottish Rite House of the Templeの北にあるメリディアン・パークにあるジャンヌ・ダルク像 剣が折れてます。 delacroix_people00.jpg ドラクロワ 民衆を導く自由の女神 ...
- ギリシャ神話あれこれ:オイディプス王(続) - 魔法の絨毯 -美術館めぐり ...オイディプスは知らなかったのだが、この老人が、彼の実父であるライオス王だった。 To be continued... 画像は、アングル「オイディプスとスフィンクス」。 ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル (Jean-Auguste-Dominique Ingres, 1780-1867, French) ...
- 【送料無料】絵画:ドミニク・アングル「ドーソンヴィル伯爵夫人」サイズF10 ...【送料無料】絵画:ドミニク・アングル「ドーソンヴィル伯爵夫人」●サイズF10(53.0×45.5cm)●プレゼント・ギフト・風水にも人気な名画の絵画(油.
- アングル「パフォスのヴィーナス」 | アングル - ドミニク・アングルアングル【パフォスのヴィーナス】 1853-53年 所蔵:オルセー美術館. 1780年、フランス生まれの新古典主義であるドミニク・アングル。この作品は、アングルが生涯手元に置き、誰にも見せなかった作品。パフォスとは、ヴィーナスが貝殻に乗っ ...
- アングル「ラファエルとフォルナリーナ」 | アングル - ドミニク・アングルアングル「ラファエルとフォルナリーナ」. アングル【ラファエルとフォルナリーナ】 1814年 原画サイズ(66.3×55.6cm) 所蔵:フォッグ美術館. 1780年、フランス生まれの新古典主義であるドミニク・アングル。フォルナリーナとは、パン屋の娘という ...
- ジャン・オーギュスト・ドミニク・アングル(4):映像によるコミュニケーション ...2010年1月フランス旅行時のルーヴル美術館でお目にかかった画家ドミニク・アングルの作品を独断と偏見ですが代表作と思われる数点を直接撮影、インターネット等で収集しましたのでご覧下さい。 Wikipediaからの抜粋ですが「ルーヴル ...
ニュースはありません。
人名辞典ではこのページで使用している画像の著作権は消失しているものと認識し ているか、許可を得て掲載しております。 万一、画像が許可を得て掲載されていない場合は速やかに画像を外すか、正式な許可を得る手続きをいたしますのでご連絡下さい。

