ドイツの作曲家。1895年ドイツのハナウで生まれる。フランクフルト・アム・マインの音楽院で学び、卒業後はヴァイオリン・ビオラ奏者として活動した。1921年の「弦楽四重奏曲第2番」などで作曲家としても認められるようになり、1927年のベルリン高等音楽院作曲科教授となった。だがナチスの台頭でアメリカに亡命、エール大学教授に就任し、戦後アメリカに帰化した。ヒンデミットの作品は独奏楽器のためのソナタなど多岐にわたる。1963年フランクフルトにて死去。
代表作は交響詩『画家マティス』歌曲集『マリアの生涯』など。
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パウル・ヒンデミット |
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[パウル・ヒンデミット 人物情報]
Wikipediaの人物情報
パウル・ヒンデミット (Paul Hindemith, 1895年11月16日 - 1963年12月28日)は、ドイツ・ハーナウ出身の作曲家、指揮者、ヴィオラ奏者。その他にもヴァイオリン、クラリネット、ピアノなど様々な楽器を弾きこなす多才な演奏家であった。
第一次世界大戦後、ロマン派音楽からの脱却を目指し、新即物主義を推進。20世紀ドイツを代表する作曲家として同時代の音楽家に強い影響を与えた。また生涯に600曲以上を作曲。交響曲やオペラばかりではなく、オーケストラを構成するほぼすべての楽器のためのソナタを作曲した。
経歴
1895年11月16日ドイツのハーナウに生まれる。11歳の時に音楽家になる決心をしてフランクフルト・アム・マインのフランクフルト音楽・舞台芸術大学でヴァイオリンを学ぶかたわら、作曲も専攻する。
その後ヴァイオリン奏者として音楽家としてのキャリアを開始し、一時映画館のジャズバンドで演奏していたこともあったが、20歳の時にフランクフルト・ムゼウム管弦楽団(フランクフルト歌劇場管弦楽団)のコンサートマスターを務めている。
第一次世界大戦に従軍、除隊後、弦楽四重奏団のヴィオラ奏者を務める。その後、ヴィオラのソロ奏者としての活動を行うとともに、多くの作曲を行う。1920年に結成したアマール弦楽四重奏団では、8年間にわたり活動し、自身の作曲した『弦楽四重奏曲第2番 (ヒンデミット)』の初演などを行っている。ヴァイオリンのシモン・ゴールドベルク、チェロのエマヌエル・フォイアーマンとの三重奏は有名で、自身が演奏するための弦楽三重奏曲も作曲している。1927年から、ベルリン音楽大学の作曲科の教授を務めている。
1934年には、代表作のオペラ『画家マチス』を作曲するが、ドイツ人でありながらナチスの意に沿う保守的作品を作曲しなかったため、「退廃音楽」であるとの烙印を押され、弾圧を受ける(ヒンデミット事件)。1935年にはトルコ政府からの依頼で、音楽教育の編成に携わり、アンカラ音楽院の開校に尽力した。
1938年にスイスへ亡命、さらに1940年にはアメリカ合衆国に亡命し、市民権を得て、イェール大学の教授に就任している。アメリカ時代の教え子にはルーカス・フォス、ノーマン・デロ=ジョイオ、映画監督のジョージ・ロイ・ヒルらがいる。第二次世界大戦終結後の1953年にようやくスイスへ帰還。ウィーン国立音楽大学の教壇にも立ち、1956年にはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の初の日本への演奏旅行に指揮者として来日している。
1963年、フランクフルト・アム・マインにて死去。
作風
それまで独奏楽器としては無視されていたヴィオラの独奏曲を多く残すとともに、通常のオーケストラに定席を持つほとんどの楽器の独奏曲を残した職人的な作曲家であり、各楽器の独奏者に重宝がられている。
初期の作風は後期ロマン主義や表現主義音楽の影響が濃厚であったが、1920年代より新即物主義、新古典主義音楽へ移行した。しかしイーゴリ・ストラヴィンスキーのそれとは異なり、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの古典的な明瞭さよりもヨハン・ゼバスティアン・バッハの対位法を好んだ。バッハの演奏で名高いグレン・グールドは「ヒンデミットは現代の数少ない真のフーガの名手である」と彼の対位法技術の高さを評価している。また彼はクルト・ワイルやエルンスト・クルシェネクとともにアマチュアでも演奏が容易な「実用音楽」を提唱している。
指揮、ヴィオラ独奏ともに録音を残し、ヴィオラ独奏では、自身の曲にふさわしい豪快でパワフルな演奏を繰り広げている。
音楽論
それまでの伝統的な、狭義の調性の枠を大きく超えるような音楽を書いたヒンデミットだが、アルノルト・シェーンベルクらの無調音楽に対しては否定的であった。
彼は、複数の音が同時に鳴ると、その周波数の和の音と差の音がかすかに発生する(例:400Hzと500Hzの音が同時に鳴ると、900Hzと100Hzの音が発生する)、という現象に着目し、その結果、どんな複雑な不協和音や半音階的旋律にも、複数の音の間には調的な支配関係が存在し、完全な無調は存在し得ない、と主張した。
そして、あくまでも一つの中心音の調的な支配力のもとで、斬新な和音や半音階を駆使する作法を確立していった。
12のフーガからなるピアノ曲『ルードゥス・トナーリス』に使われている音列は、基音Cから徐々に不協和となる、と言う構造を持ち(C-G-F-A-E-Es-As-D-B-Des-H-Fis)、彼のこのような理論が典型的に示されている。
このような作法は「拡大された調性」とも呼ばれた。
主な作品
歌劇
- 殺人者、女達の望み(Mörder, Hoffnung der Frauen )op.12 (1919年)
- ヌシュ=ヌシ (Das Nusch-Nuschi )op.20 (1920年) 人形劇のための音楽
- 聖スザンナ (Sancta Susanna )op.21
- カルディヤック (Cardillac )op.39 (1926年)
- 行きと帰り(Hin und Zurück )op.45a (1927年)
- 今日のニュース (Neues vom Tage ) (1928年 - 1929年、改訂:1953年)
- 画家マティス (オペラ) (Mathis der Maler ) (1934年 - 1935年)
- :アンリ・マティスではなく、三十年戦争時代のドイツの画家マティアス・グリューネヴァルト
- 世界の調和 (Die Harmonie der Welt ) (1936年 - 1957年)
- 長いクリスマスの会食 (Das lange Weihnachtsmahl ) (1960年)
付随音楽
- トゥティフェントヒェン(Tuttifäntchen ) (1922年)
- :クリスマス用児童劇のための曲。
- 悪魔(Der Dämon ) (1922年)
- :ダンス・パントマイムのための曲。
- 教育用音楽(Lehrstück ) (1929年)
- :ベルトルト・ブレヒトの作品のための音楽。
- 街を作ろう (Wir bauen eine Stadt ) (1930年)
- :R.ザイツの児童劇のための曲。
- エロディアード(Hérodiade ) (1944年)
- :バレエのための語りと音楽。
映画音楽
- 猫のフェリックス (Felix the cat ) (1927年)
- :機械オルガンの曲。
管弦楽曲
- おどけたシンフォニエッタ (Lustige sinfonietta )op.4 (1916年) 室内管弦楽のための作品
- 交響曲「画家マティス (交響曲)」 (Symphonie "Mathis der Maler" ) (1934年)
- 同名の歌劇の音楽からまとめたもの。
- 交響的舞曲(Symphonische Tänze ) (1937年)
- 交響曲変ホ調 (ヒンデミット) (Symphonie in Es ) (1940年)
- ウェーバーの主題による交響的変容(Symphonische Metamorphosen über Themen von C.M. von Weber ) (1943年)
- カール・マリア・フォン・ウェーバーの付随音楽「トゥーランドット」と「ピアノ連弾曲集」からの4つの自由な変奏曲。
- シンフォニア・セレーナ (1946年)
- ダラス交響楽団の委嘱作品。
- シンフォニエッタ ホ調 (Sinfonietta in E ) (1949年) 小管弦楽のための作品
- 交響曲「世界の調和」 (Die Harmonie der Welt ) (1950年 - 1951年)
- 旧バーゼル室内管弦楽団創立25周年記念のために作曲。同名の歌劇の音楽から改作したもの。
- ピッツバーグ交響曲 (Pittsburgh Symphony ) (1958年)
- ピッツバーグ市創立200年記念のために作曲。
- 管弦楽のための協奏音楽(演奏会用音楽)(Konzertmusik für Orchester )op.38 (1925年)
- 弦楽と金管のための協奏音楽(演奏会用音楽)(Konzertmusik für Streichorchester und Blechbläser )op.50 (1930年)
- ボストン交響楽団創立50周年記念の委嘱作品。
- フィルハーモニー協奏曲 (Philharmonisches Konzert ) (1932年)
- ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団創立50周年記念の委嘱作品。
- 組曲「気高い幻想」 (Suite "Nobilissima visione" ) (1938年)
- 同名のバレエ音楽から改作。
- 序曲「エロスとプシュケ」(Ouvertüre "Amor und Psyche") (1943年)
- 「あるバレエのための序曲」と副題されている。
- 古いスイスの歌による行進曲(Marsch über den alten "Schweizerton" ) (1960年)
- バーゼル大学創立500年記念のために作曲。
吹奏楽曲
- 吹奏楽のための交響曲 (ヒンデミット)(1951年)
- ワシントン陸軍音楽隊のH.カーリ少佐の委嘱作品。
- 吹奏楽のための協奏音楽(演奏会用音楽) op.41 (1926年)
協奏曲
- チェロ協奏曲 op.3 (1915年 - 1916)
- 室内音楽 (ヒンデミット) (Kammermusik )
- 第2番 op.36-1 (ピアノ協奏曲) (1924年)
- 第3番 op.36-2 (チェロ協奏曲) (1925年)
- 第4番 op.36-3 (ヴァイオリン協奏曲) (1925年)
- 第5番 op.36-4 (ヴィオラ協奏曲) (1927年)
- 第6番 op.46-1 (ヴィオラ・ダモーレ協奏曲) (1927年)
- 第7番 op.46-2 (オルガン協奏曲) (1927年)
- ヴィオラと大室内管弦楽のための協奏音楽 op.48 (1930年)
- トラウトニウムと弦楽合奏のためのコンツェルトシュテュック(Konzertstück für Trautonium und Streichorchester )op.50 (1931年)
- :)は電子楽器。
- 白鳥を焼く男 (Der Schwanendreher )(ヴィオラ協奏曲) (1935年)
- :古い民謡の旋律によるヴィオラ協奏曲。題名は第3楽章に用いられた民謡に由来する。
- 葬送音楽 (Trauermusik ) (1936年)
- :ヴィオラ(またはチェロ、ヴァイオリン)と弦楽合奏のための作品。イギリス国王ジョージ5世 (イギリス王)追悼の為に作曲。
- ヴァイオリン協奏曲(ヒンデミット) (1939年)
- チェロ協奏曲 (1940年)
- 4つの気質 ピアノと弦楽オーケストラのための主題と変奏 (Die vier Temperamente - Thema mit vier Variationen ) (1940年)
- ピアノ協奏曲 (1945年)
- クラリネット協奏曲 (1947年 - 1949年)
- ホルン協奏曲 (1949年)
- 木管楽器、ハープと管弦楽のための協奏曲 (1949年)
- トランペット、ファゴットと弦楽のための協奏曲 (1949年)
- オルガン協奏曲 (1962年)
室内楽曲
- 室内音楽 (ヒンデミット) (Kammermusik )
- 第1番 op24-1 (12の独奏楽器のための)
- 八重奏曲 (1957年 - 1958年) (クラリネット1、ファゴット1、ホルン1、ヴァイオリン1、ヴィオラ2、チェロ1、コントラバス1)
- 管楽七重奏曲 (1948年)(通常の木管五重奏曲+バスクラリネット、トランペット)
- ピアノ五重奏曲 op.7
- クラリネット五重奏曲変ロ調・変ホ調 op.30 (1923年)
- 小室内楽曲 op24-2 (1922年) (木管五重奏曲)
- 5つの楽器のための3つの小品 (1925年) (クラリネット・トランペット・ヴァイオリン・コントラバス・ピアノ)
- 弦楽四重奏曲(全7曲)
- 第1番ハ長調 op.2 (1915年)
- 第2番ヘ短調 op.10 (1918年)
- 第3番 op.16 (1920年)
- 第4番 op.22 (1921年)
- 第5番 op.32 (1923年)
- 第6番変ホ調 (1943年)
- 第7番変ホ調 (1945年)
- 朝7時に湯治場で二流のオーケストラによって初見で演奏された「さまよえるオランダ人」序曲(1925年頃)
- 金管楽器のための朝の音楽 (1932年) (金管五重奏)
- ピアノ、クラリネット、ヴァイオリンとチェロのための四重奏曲 (1939年)
- 4つのホルンのためのソナタ (1952年)
- 弦楽三重奏
- 第1番 op.34 (1924年)
- 第2番 (1933年)
- クラリネット、ホルンとピアノのための三重奏曲 op.1
- ピアノ、ヴィオラとヘッケルフォン(またはテナー・サクソフォーン)のための三重奏曲 op.47
- ヴァイオリンソナタ(ヴァイオリンとピアノ)
- ヴァイオリンソナタ 変ホ長調 op.11-1 (1918年)
- ヴァイオリンソナタ ニ長調 op.11-2 (1918年)
- ヴァイオリンソナタ ホ調 (1935年)
- ヴァイオリンソナタ ハ調 (1939年)
- ヴィオラソナタ(ヴィオラとピアノ)
- ヴィオラソナタ ヘ調 op.11-4 (1919年)
- ヴィオラソナタ op.25-4 (1922年)
- ヴィオラソナタ ハ調 (1939年)
- チェロソナタ(チェロとピアノ)
- チェロソナタ イ短調 op.11-3 (1919年)
- チェロソナタ ホ調 (1948年)
- チェロとピアノのための3つの小品 op.8 (1917年)
- 3つのやさしい小品 (1938)
- 古いイギリスの民謡「求婚に出かけた蛙」による変奏曲 (1941年)
- その他の独奏楽器とピアノ
- 瞑想曲 (Meditation ) (1938年)(ヴァイオリンまたはヴィオラ、チェロとピアノ)
- ヴィオラダモーレ小ソナタ op.25-2 (1923年)
- コントラバスソナタ ロ調 (1949年)
- フルートソナタ 変ロ調 (1936年)
- トーマス・モアの詩によるエコー (1942年) (フルートとピアノ)
- オーボエソナタ ト調 (1938年)
- イングリッシュホルンソナタ 嬰ハ調・ヘ調 (1941年)
- クラリネットソナタ (1939年)
- ファゴットソナタ 変ロ調 (1938年)
- ホルンソナタ ヘ調 (1939年)
- トランペットソナタ 変ロ調 (1939年)
- トロンボーンソナタ ヘ調 (1941年)
- アルトサクソフォーンソナタ 変ホ調 (1943年)
- チューバソナタ 変ロ調 (1955年)
独奏曲
- 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ
- op.31-1 (5楽章) (1924年)
- op.31-2 (4楽章) (1924年)
- 無伴奏ヴィオラ・ソナタ
- op.11-5 (1919年)
- op.25-1 (1922年)
- op.31-4 (1923年)
- (1937年)
- 無伴奏チェロ・ソナタ op.25-3 (1923年)
- ハープ・ソナタ (1939年)
- 無伴奏フルートのための8つの小品 (1927年)
- オルガン・ソナタ
- 第1番 (1937年)
- 第2番 (1937年)
- 第3番「古い民謡による」(Über alte Volkslieder ) (1940年)
ピアノ曲
- 2台のピアノのためのソナタ(1942年)
- 7つのワルツ(ピアノ連弾)op.5
- ピアノ連弾ソナタ(1938年)
- ピアノソナタ
- 第1番 イ調「マイン川」(1936年)
- 第2番 (1936年)
- 第3番 変ロ調(1936年)
- ピアノソナタ op.17(1917年)
- 「ある夜に」op.15(1921年)
- 舞曲集 op.19(1922年)
- 組曲「1922年」op.26(1922年)
- ピアノ音楽 op.37
- 第1部 三つの小品による練習(1925年)
- 第2部 一連の作品(1927年)
- ルードゥス・トナリス(対位法・調性およびピアノ奏法の練習)(1942年)
歌曲
- 歌曲集「マリアの生涯」
合唱曲
- 戸口に咲き残りのライラックが咲いた頃―愛する人々へのレクイエム (When lilacs last in the dooryard bloom'd - A Requiem for those we loved ) (1946年)
- :編成:メゾソプラノ・バリトン・混声合唱団・管弦楽。第二次世界大戦の犠牲者への哀悼を込めて作曲。
- ミサ (Messe ) (1963年)
その他の作品
- ミニマックス
著作
- 『和声学』(坂本良隆訳/音楽之友社/1952)
- 『作曲の手引』(下総皖一訳/音楽之友社/1953)
- 『作曲家の世界』(佐藤浩訳/音楽之友社/1955;1999新装)
- 『音楽家の基礎練習』(坂本良隆、千蔵八郎訳/音楽之友社/1957;1998新装) 点字楽譜普及会「トニカ」から1992年に点字版が出版されている。
- 『二声部楽曲の練習書』(下総皖一、志賀静男訳/音楽之友社/1958)
- 『和声学第2巻』(坂本良隆訳/音楽之友社/1965)
教え子
- ワルター・クラフト
- 貴志康一
- 下総皖一
- 坂本良隆
関連事項
- ヒンデミット事件
外部リンク
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