Breton, André

アンドレ・ブルトン

ブルトン
Breton, André
1896年02月18日~1966年09月28日
[フランス] [作家] [詩歌]

[アンドレ・ブルトン 人物情報]

フランスの詩人・作家。シュルレアリスム運動の指導者のひとり。
1896年ノルマンディー地方のタンシュブレーで生まれる。
第1次大戦後、ダダを受け入れてルイ・アラゴンらと機関誌『文学』などを発表。1924年にはシュルレアリスム宣言を発表した。

Wikipediaの人物情報

アンドレ・ブルトンAndré Breton, 1896年2月19日 - 1966年9月28日)は、フランスの詩人、文学者、シュルレアリスト。ちなみに、誕生日については、ブルトン自身しばしば2月18日とも公言しているが、それは「詩的」な意味でのことで、書類などでも2月19日生まれとはっきり記されている。

経歴

)らとともに、)らとともに新たな芸術運動を展開、眠りながらの口述などの実験を試み、1924年、「シュルレアリスム宣言」の起草によって、シュルレアリスムを創始した。

以後、『シュルレアリスム革命』誌の編集長となり、シュルレアリスムに感化された多くの芸術家がパリに集まる。ブルトン自身は、拡大していくシュルレアリスムの中心的存在、「法王」として君臨し続け、『ナジャ』などの作品や、多くの評論を著した。第二次世界大戦中にはアメリカ合衆国のニューヨークに亡命していたが、マルティニークを経由した際にエメ・セゼールと出会い、『熱帯』や『帰郷ノート』に衝撃を受けた。亡命後は合衆国でも活動を続け、戦後はフランスに戻る。

シュルレアリスムから芸術家たちが離れていく中で、ブルトンは終生そのシュルレアリストとしての立場を貫いた。

ダダイスムの活動を経ているためでもあるだろうが、著書の中では既存の芸術を批判していることが多い。ただし、ルネサンス期の画家パオロ・ウッチェロを好んでもいた。

パリ9区のフォンテーヌ通り42番地にアパルトマンを持ち、ブルトンの書斎には、絵画などの芸術作品だけでなく、アフリカの民芸品などが多数あり、ブルトンはそれをときには交換や、寄付をするなどしていた。ブルトンの娘オーブらが守ってきたそれらの膨大なコレクションは、批判がありながらも、2003年オークションにかけられることになった。

2008年5月21日には、ブルトンの「シュルレアリスム宣言」など9点の自筆原稿がパリのサザビーズでオークションにかけられ、パリの書簡・直筆原稿博物館が、360万ユーロ(約5億8千万円)で落札した。

共産主義との関係

1926年頃、ブルトンらのシュルレアリスム運動は、当時の革命的組織、フランス共産党からの厳しい批判を受ける。「正当防衛」などによっての自己弁護も、ほとんど理解されず、結局ブルトンは、数人の同志とともに、あえて共産党に入党するということを選んだ。それでも共産党からの追求は厳しく、また思想などが本質的に異なっていたために、結局離れることになる。しかし、ルイ・アラゴンやポール・エリュアールなどは、後に共産主義に進んだ。シュルレアリストのグループ内で、共産主義の集団に「反啓蒙的な傾向がある」と、ブルトンは判断していたらしい。

ただし、ブルトンはレフ・トロツキーの著書『レーニン』に感銘を受け、それ以来影響を受けてもいる。1940年頃には、当時メキシコシティの隠れ家に住んでいたトロツキーを訪ね、一つの著書を共同執筆することとなった。

シュルレアリスム宣言

1924年作。シュルレアリスムを運動として組織し、拡大させるきっかけとなった書物。もともと『シュルレアリスム宣言』は、自動記述による物語集『溶ける魚』の序文として書かれていたが、シュルレアリスムという言葉をはっきりと定義したことで、宣言へと姿を変えることになった。本来の書名は『シュルレアリスム宣言・溶ける魚(Manifeste du surréalisme/Poisson soluble)』となっており、『宣言』に『溶ける魚』を併収する形をとっていた。しかし、後に出版される、いわゆる『宣言集』などでは、『第二宣言』、『第三宣言か否かの序』と、『シュルレアリスム宣言』を『第一宣言』として併収し、『溶ける魚』は切り離されることになった。

また、ブルトン著の他の作品としては、現実の女性、ナジャとの出会いで現実の背後にある超現実の存在を実感する体験を語った、ドキュメントの散文作品『ナジャ』の他、『狂気の愛』『通底器』『シュルレアリスムと絵画』など、またフィリップ・スーポーとの共著による、自動記述のテクストを集成した『磁場』、ポール・エリュアールとの共著『処女懐胎』などがある。

シュルレアリスムの「父」

ブルトンはシュルレアリスムを創始し、運動として組織した。その中でブルトンは前述の通り「法王」として君臨した。そのようなブルトンは、多くの芸術家を、シュルレアリスムから「除名」している。マックス・エルンストや、20世紀最大の画家とも言われるサルバドール・ダリなどがそうである。そのようなブルトンの態度、行動、やり方といったものには多くの人間が反発しており、「ブルトンはシュルレアリスムの父であり、子は常に父より優れ、子であるダリはその父から離れていった」という言い方もある。最初の妻シモーヌはブルトンとの結婚以前に、友人への手紙でブルトンを「率直な」人物と評していたが、著書にしばしば見られる過激な言葉などからも、ブルトンの人柄がいくらか知れるだろう。アラゴン、エリュアール、スーポーといった、シュルレアリスムを創始したメンバーのほとんどは、後にブルトンの元を離れている。

自動記述について

自動記述(オートマティスム)は、あらかじめ何も予定せず、先入観を捨て去り文章を書き付けるという、主に文学の表現方法で、シュルレアリスム宣言の中に示されているシュルレアリスムの定義に即したものと言えるだろう。ブルトンは自動記述を重視し、スーポーとの共著による、自動記述の方法によった文章を集成した『磁場』が、最初の「テクスト・シュルレアリスト」と言える。ブルトンは、その後もシュルレアリスム宣言に併収された物語集「溶ける魚」など、自動記述をシュルレアリスムの重要な要素としていた。しかし、シュルレアリスムの「法王」としての、教条的な態度と、自動記述法を重視する態度に、ルネ・マグリットなど、反感を覚える人物もいた。日本のシュルレアリストとして知られている瀧口修造は、自動記述の方法を用いて作品を書いている。巖谷國士などは、自動記述、またその成果を高く評価している。

主な邦訳書

  • 『シュルレアリスム宣言』
    • 『シュルレアリスム宣言・溶ける魚』巖谷國士(岩波文庫、旧版学芸書林)
    • 『超現実主義宣言』生田耕作(中公文庫)
    • 『シュルレアリスム宣言集』江原順(白水社)
  • 『ナジャ』
    • 『ナジャ』巖谷國士(岩波文庫、白水社)
      • 『ナジャ論』巖谷國士(白水社)
    • 『ナジャ』栗田勇(現代思潮新社)
  • 『秘法十七番』
    • 『秘法十七』入沢康夫(人文書院)
    • 『秘法十七番』宮川淳(晶文社)
  • 『通底器』足立和浩(現代思潮新社)
  • 『ブルトン詩集』稲田三吉(思潮社)
  • 『処女懐胎』服部伸六(ポール・エリュアールとの共著、思潮社)
  • 『恋愛 L'amour』(ポール・エリュアールとの共著、エクリ)
  • 『狂気の愛』
    • 『狂気の愛』笹本孝(思潮社)
    • 『狂気の愛』海老坂武(光文社)
  • 『性についての探究』野崎歓編(白水社)
  • 『魔術的芸術』巖谷國士、谷川渥ほか(河出書房新社)
  • 『シュルレアリスムと絵画』粟津則雄ほか(人文書院)
  • 『至高の愛』松本完治(エディション・イレーヌ)
  • 『シュルレアリスム簡約辞典』江原順(現代思潮新社)
  • 『超現実主義と絵画』滝口修造(ゆまに書房)、復刻版
  • 『シュルレアリスムとは何か』秋山澄夫(思潮社)
  • 『ブルトン、シュルレアリスムを語る』稲田三吉(思潮社)
  • 『アンドレ・ブルトン集成』(人文書院)、数巻のみで未完結出版。
  • 『ピエール・モリニエの世界』生田耕作(ピエール・モリニエとの共著、奢霸都館)
  • 『黒いユーモア選集(セリ・シュルレアリスム)』山中散生(国文社)

伝記研究

  • ジュリアン・グラック『アンドレ・ブルトン 作家の諸相』
永井敦子訳 、人文書院、1997年
  • アンリ・ベアール『アンドレ・ブルトン伝』
塚原史、谷昌親訳、思潮社、1997年
  • 『三極の星 アンドレ・ブルトンとシュルレアリスム』
オクタビオ・パス、鼓宗訳 青土社 1998年

ブルトンが登場するフィクション

  • 川又千秋『幻詩狩り』
  • 安部公房「バベルの塔の狸」(『壁』所収)

関連項目

  • ジークムント・フロイト
  • カール・マルクス
  • レフ・トロツキー
  • ロートレアモン伯爵
  • ジョルジュ・バタイユ
  • パブロ・ピカソ
  • サルバドール・ダリ
  • ジョルジョ・デ・キリコ
  • マックス・エルンスト
  • ポール・エリュアール
  • モーリス・ブランショ
  • エメ・セゼール
  • 巖谷國士

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アンドレ・ブルトンに関するニュース
  • エロティシズムと背徳性で原作は発禁、魔性の女の誘惑に負けた ...(2月6日 20時39分)
    発表当時マルキ・ド・サドによって賞賛されたほか、のちにアンドレ・ブルトンが『シュルレアリスム宣言』で同作を取り上げるなどしている。 フランスとスペインの合作となる同作を手掛けたのは、映画『ハリー、見知らぬ友人』で知られるドミニク・モル監督。

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