Nono, Luigi

ルイジ・ノーノ

ノーノ
Nono, Luigi
1924年01月29日~1990年05月06日
[イタリア] [作曲家]

[ルイジ・ノーノ 人物情報]

イタリアの作曲家。1924年ヴェネツィア生まれ。 第2次大戦後のヨーロッパ前衛音楽において、ブーレーズやシュトックハウゼンと並ぶ中心的存在であった。共産党員でもあったノーノは急進的な政治思想と新しい音楽技法を統合した、メッセージ性の強い音楽を多く残した。 代表作は歌劇「不寛容」、バレエ音楽「赤い外套」、「管弦楽のコンポジション」「力と光の波のように」など。

Wikipediaの人物情報

ルイジ・ノーノLuigi Nono, 1924年1月29日 - 1990年5月8日)はイタリアのヴェネツィアの作曲家。電子音楽、トータル・セリエリズムにおける主導的存在の一人となった。

経歴

ノーノは1941年にヴェネツィア音楽院で理論をジャン・フランチェスコ・マリピエロに学び、その後大学で法学部を卒業している。1946年にブルーノ・マデルナやヘルマン・シェルヘンに作曲を学び十二音技法を習得する。1955年にアルノルト・シェーンベルクの娘、ヌリアと結婚した。彼のセリエル技法は間接的にアントン・ヴェーベルンを経由せず、直接シェーンベルクからの影響が強い。

1950年にダルムシュタット夏季現代音楽講習会に出席。そこでエドガー・ヴァレーズやカールハインツ・シュトックハウゼンなどの作曲家と出会う。1950年代前半には、室内楽のための「ポリフォニカ-モノディア-リトミカ Polifonica-Monodica-Ritmica」(1951)、声楽を含む管弦楽曲「フェデリコ・ガルシーア・ロルカへの墓碑銘 Epitaffio per Federico García Lorca」(1952-1953)、合唱と管弦楽のための「ゲルニカの勝利 La victoire de Guernica」(1954)、混声合唱と室内楽のための「愛の歌 Liebeslied」(1954)が生まれている。その後、彼は音楽的現象としての完全性を追求し、次第に表層的なセリー技法こそ拒否するようになるが、点描性は保持し続けた。このため「時代遅れの表現主義者」としてシュトックハウゼンやブーレーズから批判された。50年代後半には、「インコントリ Incontri」(1955)、「断ち切られた歌 Il canto sospeso」(1955-1956)、「ディドーネの合唱 Cori di Didone」(1958)等を作曲。

ノーノは共産主義者であった。1952年にはマデルナとともにイタリア共産党に入党。彼の前衛音楽もまた、有産階級文化への反発手段となった。作品中で政治に対して訴えることも稀ではなかった。事実、彼に国際的名声を与えた「断ち切られた歌」(第二次世界大戦中における迫害の犠牲者の手紙に基づく)の他、「ポーランド日記 Diario polacco」(1958)、歌劇「不寛容 Intolleranza」(1960-61)、「光の工房 La fabbrica illuminata」(1964)、「アウシュヴィッツの出来事の追憶 Ricorda cosa ti hanno fatto ad Auschwitz」(1966)、「我々はマルクスを食い尽くさない Non consumiamo Marx」(1969)、「一つの妖怪が世界をうろつく Ein Gespenst geht um in der Welt」(1971)、「ベトナムのための歌 Canto per il Vietnam」(1973)、「愛に満ちた偉大な太陽に向かって Al gran sole carico d'amore」(1975)など、彼の作品には政治的要素を含むものが多い。1956年以降、彼は次第に電子音楽に興味を持ち始め、同年にはグラヴェザーノに在るヘルマン・シェルヘンの電子音楽スタジオ(Elektroakustische Experimentalstudio)で、新しい作曲技法についてのシンポジウムに参加する。この分野では、ソプラノ、ピアノ、オーケストラとテープのための「力と光の波のように Como una ola de fuerza y luz」(1971-72)、ピアノとテープのための「苦悩に満ちながらも晴朗な波 ...sofferte onde serene...」(1974-77)、「愛に満ちた偉大な太陽に向かって Al gran sole carico d'amore」(1972-75)などを作曲。この時期のノーノの作品はダイナミクスも大きく、攻撃的な音響の作品が多い。

1980年になると、フライブルクにある南西ドイツ放送局ハインリッヒ・シュトローベル記念財団実験スタジオにおいてライヴエレクトロニクス作品の作曲を始める。社会との関りで得られる音ではなく、音の性質そのものを微視的に眺める鉱脈へ興味を持つことになった。この新しい姿勢は、「死の間近な時 ポーランド日記第2番 Quando Stanno Morendeo Diario polacco n°2」(1982)、「冷たい怪物に気をつけろ Guai ai gelidi mostri」(1983)、「クルターグ・ジェルジへのオマージュ Omaggio a Kurtág」(1983)に加え、彼の最後のオペラとなった「プロメテオ Prometeo」(1984)といった作品で明らかになっている。同じ傾向の作品として、「断片――静寂、ディオティーマへ Fragmente - Stille, an Diotima」(1980)、日本で委嘱・初演された傑作の「進むべき道はない、だが進まねばならない――アンドレイ・タルコフスキー No hay caminos, hay que caminar... Andrej Tarkovskij 」(1987)、ヴァイオリン、ライヴ・エレクトロニクスとテープのための「ノスタルジー的ユートピア未来の遠景 La lontananza nostalgica utopica futura」(1988)などがある。

作品

ノーノの作風は三期に分けられる。セリエルな手法で作曲していた初期、テープ音楽を中心に政治的な主張を前面に出した中期、それにライヴ・エレクトロニクスを導入して抑制された静寂を追求した後期である。

初期

  • 室内オーケストラのための『カノン風変奏曲』(1950)
  • 6楽器と打楽器のための『ポリフォニカ、モノディア、リトミカ』(1951)
  • 『管弦楽のための作品 第1』(1951)
  • 声とオーケストラのための『ガルシア・ロルカへの墓碑銘』(1952-53)
  • 混声合唱と器楽のための『愛の歌』(1954)
  • 混声合唱とオーケストラのための『ゲルニカの勝利』(1954)
  • 24楽器のための『インコントリ (集合)』(1955)
  • ソプラノとコントラルト、テノール、混声合唱とオーケストラのための『断ち切られた歌』(1955-56)
  • ソプラノ、テノール、合唱のための『大地と仲間』(1957) - C.パヴェーゼによる
  • 混声合唱と打楽器のための『ディドーネの合唱』(1958)
  • オーケストラのための『ポーランド日記』(1958)
  • 2幕のオペラ『不寛容』(1960-61)
  • ソプラノ、テノールとオーケストラのための『生命と愛の歌 - 広島の橋の上で』(1962)

中期

  • 声と磁気テープのための『光の工房』(1964)
  • ソプラノと3人の俳優、クラリネット、銅版と磁気テープのための『森は若々しく生命に満ちている』(1965-66)
  • 声と磁気テープのための『アウシュヴィッツの出来事の追憶』(1966)
  • 3群のオーケストラと磁気テープのための『バスティアーナに、太陽は輝く(東方紅)』(1967)
  • 磁気テープのための『我々はマルクスを食い尽くさない』(1969)
  • 6人の女声、合唱と録音テープのための『そして、そこで彼は理解した』(1969)
  • 声と磁気テープのための『音楽宣言 第1』(1969)
  • ソプラノ、合唱とオーケストラのための『一つの妖怪が世界をうろつく』(1971)
  • ピアノと磁気テープのための『苦悩に満ちながらも晴朗な波…』(1971-72)
  • ソプラノ、ピアノ、オーケストラと録音テープのための『力と光の波のように』(1972)
  • 合唱のための『ベトナムのための歌』(1973)
  • オペラ『愛に満ちた偉大な太陽に向かって』(1972-75)

後期

  • 弦楽四重奏のための『断片-静寂、ディオティーマへ』(1980)
  • バス・フルート、合唱とライヴ・エレクトロニクスのための『息づく静寂 - 断章』(1980-81)
  • 3人のソプラノ、合唱、バス・フルート、コントラバスクラリネットとライヴ・エレクトロニクスのための『イオ・プロメテウスからの断片』(1981)
  • 4人の女声とバスフルート、チェロとライヴ・エレクトロニクスのための『死の間近な時 ポーランド日記第2番』 (1982)
  • 2人のコントラルト、器楽とライヴ・エレクトロニクスのための『冷たい怪物に気をつけろ』 (1983)
  • メゾソプラノ、フルート、クラリネット、バスチューバとライヴ・エレクトロニクスのための『クルタークへのオマージュ』 (1983)
  • オペラ『プロメテオ』 (1984)
  • オーケストラのための『無限の可能性を有した建築家、カルロ・スカルパに』 (1984)
  • コントラルト、フルート、合唱、オルガン、オーケストラとライヴ・エレクトロニクスのための『進み行くものよ...アヤクチョ』 (1987)
  • 7群のオーケストラのための『進むべき道はない、だが進まなければならない…アンドレイ・タルコフスキー』 (1987)
  • テューバとライヴ・エレクトロニクスのための『後・前奏曲』(1987)
  • ヴァイオリンと8つの録音テープのための『未来のユートピア的ノスタルジー的遠方』 (1988)
  • 2つのヴァイオリンのための『夢見ながら "歩かなければならない"』 (1989)

出典:名曲解説全集(音友)、新音楽時報(ショット社)、テクステ:ヘルムート・ラッヘンマン・インタビュー

外部リンク

1924年生まれの人物
安部公房 / トルーマン・カポーティ / 黒岩重吾 / 團伊玖磨 / 中村正義 / ルイジ・ノーノ / 吉行淳之介 /

ルイジ・ノーノに関するブログ記事
  • 絵画397・・ルイジ・ノーノ: 午前0時のひとり言
    絵画397・・ルイジ・ノーノ. ルイジ・ノーノ(1850~1918). イタリア画家。1864年からヴェネツィアアカデミーで学び始め、76年からフィレンツェ、ローマに。99年同アカデミー教授。 First_rain Photo_3 Photo Refugium_peccatorum Photo_2 ...
  • ルイジ・ノーノ | Dictionnaire Classique
    ルイジ・ノーノ 欧州のクラシック音楽、絵画の歴史辞書.
  • 磯崎新『栖十二』より第十二信磯崎新[ルイジ・ノーノの墓] - livedoor Blog
    パッケージは磯崎新のスケッチ「秋吉台国際芸術村におけるルイジ・ノーノ作曲[プロメテオ]日本初演のためのプラン」がシルクスクリーンで刷られ、中面青焼図面は磯崎新設計「大友宗麟の墓 アクソノメトリック」です。 vol12 磯崎新〈栖 十二〉第 ...
  • スクリャービン、ルイジ・ノーノほか『プロメテウス ひとつの神話のさまざま ...
    なんといっても、現代音楽の作曲家、それも反体制、共産主義思想の信奉者ルイジ・ノーノの晩年の長大な作品『プロメテウス(組曲1992)』の作品、ただし抜粋ヴァージョンだけれど、それが聴けるとあって借り受けたのだった。 ベートーヴェンや ...
  • ザルツブルク・ビエンナーレ2009(映像)|クラシック|音楽|HMV ...
    マウリシオ・ソテロ[1961-]:地下室/ルイジ・ノーノのための音楽 (2004-05/2008) アルカンゲル(フラメンコ歌手) ザルツブルク・バッハ合唱団 オーストリア現代音楽アンサンブル ベアト・フラー(指揮) (演奏抜粋、指揮者ベアト・フラーへの ...
  • ねもじゅんの明日に向かって走れ!: ルイジ・ノーノ作品演奏会
    ルイジ・ノーノ作品演奏会 2011年6月5日(日) 18:30開場、19:00開演日本大学芸術学部江古田校舎東棟6階音楽小ホール《ドナウのための後-前-奏曲》POST-PRAE-LUDIUM PER DONAU (1987) 《未来のユートピア的ノスタルジー的 ...
  • Twitter Updates for 2012-02-02 | Flipper's C Laboratory WebLogs
    昨日よりルイジ・ノーノの音源を調べているんだけど中々難しい。これと同じぐらいの労力でAmazonUKでnew balanceを買い占めてる。 #; 京都市長選が近いんだけど共産党は名前変えたらどうかな? #; 恵方巻ハードコアとしては、一本食べ ...
  • 絵画398・・エットーレ・ティト: 午前0時のひとり言
    カンナ☆彡ワールド · 思いつくまま気ままろぐ · Here Comes The Sun. 日々是好日 · 佐賀錦日記 · RSSを表示する · このブログをマイリストに追加 · @niftyが提供する 無料ブログはココログ! 無料ブログはココログ. « 絵画397・・ルイジ・ノーノ ...
  • 絵画396・・メアリー・ルイーズ・ガオ: 午前0時のひとり言
    絵画399・・ジャコモ・ファヴレット · 絵画398・・エットーレ・ティト · 絵画397・・ルイジ・ノーノ · 絵画396・・メアリー・ルイーズ・ガオ · 絵画395・・カール・ゼビー · 絵画394・・フランシス・コーツ・ジョーンズ · 絵画393・・フランソワ・フラマング ...
  • ルイジ・ノーノ作品演奏会|橋本晋哉(チューバ)中澤沙央里(ヴァイオリン ...
    ルイジ・ノーノ: 《ドナウのための後-前-奏曲》 POST-PRAE-LUDIUM PER DONAU (1987) 《未来のユートピア的ノスタルジー的遠方》 LA LONTANANZA NOSTALGICA UTOPICA FUTURA (1988-89) 演奏者:橋本晋哉(チューバ) 中澤 ...

ルイジ・ノーノに関するニュース

ニュースはありません。