日本の俳人。本名、種田正一。
1882年(明治15年)現在の山口県防府市に生まれる。父は地域の有力者で大地主だった。早稲田大学文学部に入学したが、2年後に病気のため退学し、帰郷。家業の造り酒屋を手伝う傍ら俳句雑誌に寄稿するようになり、1913年荻原井泉水の門下となった。その後、実家が破産。妻子を捨てて各地を転々とした。自殺未遂したところを僧侶に助けられ、寺男となった。
1925年寺を出て旅をしながら句を詠む生活をはじめ、1939年松山で死去。種田山頭火は自由律を代表する俳人としても知られ、生涯約8万4000句を詠んだ。代表句「うしろすがたのしぐれてゆくか」「分け入っても分け入っても青い山」など。
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種田山頭火 |
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[種田山頭火 人物情報]
Wikipediaの人物情報
種田 山頭火(たねだ さんとうか、1882年(明治15年)12月3日 - 1940年(昭和15年)10月11日)は、戦前日本の俳人。よく山頭火と呼ばれる。自由律俳句のもっとも著名な俳人の一人。1925年に熊本市の曹洞宗報恩寺で出家得度して耕畝(こうほ)と改名。本名・種田正一。
経歴
山口県西佐波令村(現・山口県防府市大道)の地主の出身。11歳の時、母が自殺した。旧制山口中学(現山口県立山口高等学校)から早稲田大学文学部に入学したが、神経衰弱 (精神疾患)のため中退した。その後、帰省し療養の傍ら家業である造り酒屋を手伝った。1910年(明治43年)結婚し一児をもうけた。1911年(明治44年)荻原井泉水の主宰する自由律俳誌『層雲』に寄稿。1913年(大正2年)井泉水の門下となる。1916年(大正5年)には、『層雲』の選者に参加。
その後、家業の造り酒屋が父親の放蕩と自身の酒癖のため破産し、妻子を連れ熊本市に移住した。古書店を営むがうまくいかず、1920年(大正9年)離婚。妻子を捨てて東京へ出奔した。その後弟・二郎が自殺。1923年(大正12年)関東大震災に遭い熊本の元妻のもとへ逃げ帰った。熊本市内で泥酔し、路面電車を止めたところを顔見知りの記者に助けられ、市内の報恩禅寺(千体佛)住職・望月義庵に預けられ寺男となった。1924年(大正14年)得度し「耕畝」と改名、味取観音堂の堂守となる。
1925年(大正15年)寺を出て雲水姿で西日本を中心に旅し句作を行ない、旅先から『層雲』に投稿を続けた。1932年(昭和7年)郷里山口の小郡町(現・山口市小郡)に「其中庵」を結庵したが、体調不良から来る精神不安定から自殺未遂を起こす。その後東北地方などを旅した後、1938年(昭和13年)には同町湯田温泉内の「風来居」、さらに1939年(昭和14年)松山市に移住し「一草庵」を結庵。翌年、この庵で生涯を閉じた。享年58。
作家論
自由律俳句の代表として、同じ井泉水門下の尾崎放哉と並び称される。山頭火、放哉ともに酒癖によって身を持ち崩し、師である井泉水や支持者の援助によって生計を立てていたところは似通っている。しかし、その作風は対照的で、「静」の放哉に対し山頭火の句は「動」である。
なお、「山頭火」とは納音の一つであるが、山頭火の生まれ年の納音は山頭火ではなく「楊柳木」である。「山頭火」は、30種類の納音の中で字面と意味が気に入った物を選んだだけであると『層雲』の中で山頭火自身が書いている。
代表句
- あるけばかつこういそげばかつこう
- へうへうとして水を味ふ
- 一羽来て啼かない鳥である
- うしろすがたのしぐれてゆくか
- どうしようもない私が歩いている
- 生まれた家はあとかたもないほうたる
- 音はしぐれか
- 酔うてこほろぎと寝ていたよ
- 鴉啼いてわたしも一人
- 笠にとんぼをとまらせてあるく
- 笠も漏り出したか
- けふもいちにち風を歩いてきた
- この旅、果もない旅のつくつくぼうし
- こころすなほに御飯がふいた
- 鈴をふりふりお四国の土になるべく
- 霧島は霧にかくれて赤とんぼ
- また一枚脱ぎ捨てる旅から旅
- まつすぐな道でさみしい
- ふるさとはあの山なみの雪のかがやく
- すべつてころんで山がひつそり
- また見ることもない山が遠ざかる
- 松はみな枝垂れて南無観是音
- 分け入つても分け入つても青い山
- 鉄鉢の中へも霰
- 山へ空へ摩訶般若波羅密多心経
- 水音の絶えずして御仏とあり
- ほろほろほろびゆくわたくしの秋
- 生死の中の雪ふりしきる
- おちついて死ねそうな草萌ゆる
- 濁れる水の流れつつ澄む
(出典「草木塔」「俳句検索」)
主要な著作
- 『鉢の子』
- 『草木塔』
- 『山行水行』
注釈
関連項目
- 俳人の一覧
- 早稲田大学の人物一覧
- まっすぐな道でさびしい(いわしげ孝著作、山頭火の伝記をコミック化)
- 秋山巌
- 池田遙邨
- 世捨て人
- 井上井月(幕末、明治初期の放浪俳人。山頭火は井月を敬慕し、山口からはるばる信州まで墓参をしている)
- 松山市#主要施設・観光地
外部リンク
- 種田山頭火 「草は枯れ」 「草はしげる」 - どうしようもないわたしが歩いてゐるあてもなく踏み歩く草はみな枯れたり 犬がほえる鳥のなく草は枯れてゐる 草は枯れて犬はたゞほえて 日が照る草は枯れて石仏 草はしげるがままの、かたすみの秋田蕗 ここを死に場所とし草はしげるままに.
- 種田山頭火 「草へ」 - どうしようもないわたしが歩いてゐる枯れる草へよろめくこうろぎとこうろぎ 草へ脚を投げだせばてふてふ 草へ草がなんとなく春めいて 死ぬるばかりの蝗を草へ放つ 伸びた草へ伸びた草で.
- 種田山頭火 「草が青く」 「草がしげる」 - どうしようもないわたしが歩いてゐる家があつて墓があつて草が青くて 草が青うてどこかの豚が出て遊ぶ はればれ酔うて草が青い あれから一年の草がしげるばかり しがないくらしの、草がやたらにしげります.
- 種田山頭火 「草に」 - どうしようもないわたしが歩いてゐる庵はこのまゝ萠えだした草にまかさう 風ふくてふてふはなかよく草に ごろりと草に、ふんどしかわいた 晴れて風ふく草に火をはなつ 待ちぼけの、寝るとする草に雨ふる ランプ消せば月夜の雨が草に地べたに.
- 種田山頭火 「草だらけ」 - どうしようもないわたしが歩いてゐる草だらけ埃だらけ 住みなれて草だらけ 身のまはりは草だらけマイナスだらけ 身のまはりは草だらけみんな咲いてる よい雨のよい水音が草だらけ.
- 種田山頭火 「草ふかく……」 - どうしようもないわたしが歩いてゐる草ふかくおどりあがつたよ赤蛙 草ふかく木の実のおちたる音のしづか 草ふかくここに住みついて涼しく 草ふかく韮が咲いてゐるつつましい花 草ふかく水のあふるるよ月.
- 種田山頭火 「……草の実」1 - どうしようもないわたしが歩いてゐるあるけば草の実すわれば草の実 うらもおもても秋かげの木の実草の実 枯れてゆききができるやうになつた草の実 こゝに生えこゝに枯れたる草の実 法衣(ころも)こんなにやぶれて草の実 こんなに草の実どこの草の実 ほつと入日のさすところ草 ...
- 種田山頭火 「草の実の」 - どうしようもないわたしが歩いてゐるいつ咲いた草の実の赤く 枯れるものは枯れてゆく草の実の赤く 草の実の露の、おちつかうとする こゝで寝るとする草の実のこぼれる 法衣(ころも)の草の実の払ひきれない しつとり濡れて草の実のみどり 日ざしあたゝかな草の実の赤い.
- 種田山頭火 「草の上」2 - どうしようもないわたしが歩いてゐる浅間をまともにおべんたうは草の上にて けふのべんたうも草の上にて 草の上におべんたう分けて食べて右左 田植べんとうはみんないつしよに草の上で.
- 種田山頭火 「草の葉……」 - どうしようもないわたしが歩いてゐる草の葉そよぎかはしつつ暮るゝかな 草の葉の晴れててふてふ三つとなつて 草の葉のもみづりて秋ふかし 草の葉ふかくきりぎりすのをさなさよ 草の葉むしりつゝ橋をまた渡る.
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