エーリッヒ・ケストナー

ケストナー
Kästner, Erich
1899年02月23日~1974年07月29日
[ドイツ] [作家]

[エーリッヒ・ケストナー 人物情報]

ドイツの作家。1899年皮革職人の子としてドレスデンに生まれる。
第1次大戦では士官候補生として訓練を受けていたが前線には出征しなかった。その後ベルリン、ローシュトックおよびライプチヒ大学でドイツ文学を学ぶ。卒業後ベルリンに出て1927年処女詩集『腰の上の心臓(ハート)』などにより詩人としてみとめられた。1928年に発表した児童文学『エーミールと探偵たち』が好評を博し、以後多くの児童文学を執筆して児童文学作家として世界的に有名になった。ナチス政権時は執筆を禁じられるなど苦難を味わった。1960年『わたしが子どもだったころ』で第3回国際アンデルセン大賞を受賞。
代表作は他に『ファービアン』『雪の中の三人男』『エミールと探偵たち』など。

Wikipediaの人物情報

エーリッヒ・ケストナー(Erich Kästner, 1899年2月23日 - 1974年7月29日)はドイツの詩人・作家である。

生涯

ドレスデンのノイシュタットに生まれた。父エミール・ケストナーは鞄作りの手工業者だったが、産業工業化のあおりを受けて、工業労働者になり、母親イーダ(旧姓アウグスティーン)は夫の少ない労働賃金を補うため、理容師になる(『わたしが子どもだったころ』に詳細)。本当の父親はユダヤ人の主治医ツィンマーマン博士で、母イーダとツィンマーマンという医者との間に生まれた不倫の子供であった。この事はケストナーが青年になるまで秘密にされた。博士は第二次大戦後、亡命先のブラジルで亡くなったと思われる。

教師になろうとして、教師を養成する専門の中高一貫校(ギムナジウム)に入学。第一次世界大戦に兵士として召集される。命令と服従という関係しかなかった学校、軍隊に反発を感じ、大学進学を決める。ライプツィヒで学業の傍ら、新聞の編集委員をしながら、詩や、舞台批評を発表。空前のインフレの影響もあり、苦労して大学を卒業した後、ベルリンに出て詩人として認められた。

辛らつで、皮肉の強いパロディや、厭世的でシニカルな作品を多く発表する。また、恋愛を対象としたものも多い。1928年に発表した子供のための小説『エーミールと探偵たち』が好評で、次々と子供のための小説を執筆し、児童文学作家として世界的に有名になった。とりわけ、世界各国で何度も映画化された、同タイトルの映画は有名。ケストナー作品の挿絵は「エーミールと探偵たち」執筆と相前後して知り合った画家・イラストレーターのワルター・トリヤー(Walter Trier 1890-1951)が多く手がけ、その関係はトリヤーの死去まで続いた。

成人向けの文学作品でも健筆を振るった。ベルリンの荒廃を描いた『ファービアン』(1932年)は第二次世界大戦世代の日本の作家たち(織田作之助、吉行淳之介、開高健など)に、好意的に読まれ、子供のためだけではない小説家としての顔を見せている。

自由主義・民主主義を擁護し、ファシズムを非難していたため、ナチスが政権を取ると、政府によって詩・小説、ついで児童文学の執筆を禁じられた。ケストナーは父方を通じてユダヤ人の血を引いていたが、「自分はドイツ人である」という誇りから、亡命を拒み続けて偽名で脚本などを書き続け、スイスの出版社から出版した。ナチス政権によって自分の著作が焚書の対象となった際にはわざわざ自分の著書が焼かれるところを見物しにいったという大胆なエピソードがある。ナチスもケストナーを苦々しく思っていたが、拘束などの強硬な手段を取るにはケストナーに人気があり過ぎ、逆に民衆の反発を買う恐れがあったため、ナチス・ドイツの焚書にした際、子供たちに配慮して児童文学だけは見逃したり、ケストナー原作の映画を作成したりしている。一方でヴァルター・ベンヤミンを含む、マルキシズムの立場からは、政治的に立脚点が無く、その理想は、プチブルジョアのための慰めでしかない、という批判を受ける。

戦後は初代西ドイツ国際ペンクラブ会長としてドイツ文壇の中心的人物になった。ちなみにドレスデンにいたケストナーの母親とは戦後の東西ドイツ分断で離れ離れになってしまったが、ドイツ民主共和国政府もケストナーが反ナチを貫いた事を高く評価、母親を手厚く保護したという。1960年、『わたしが子どもだったころ』で優れた子供の本に贈られる第3回国際アンデルセン賞を受賞した。

長年ルイーゼロッテ・エンダーレという女性と生涯ともに暮らしていたが、内縁関係のままで生涯結婚する事はなかった。ちなみに『ふたりのロッテ』の主人公である双子の姉妹(ルイーゼとロッテ)は、この内縁の妻の名を分けて名付けたことで知られている。

主要作品

子供向け

  • エーミールと探偵たち(1929年)
  • エーミールと三人のふたご(1935年) - 「探偵たち」後日譚。
  • 点子ちゃんとアントン(1931年) - ドイツで1953年と1999年の2度映画化されている。
  • 五月三十五日(1932年) - 木馬座が子供向け人形劇として上演していた。
  • 飛ぶ教室(1933年) - 飛ぶ教室 (映画)としてドイツで映画化。
  • ふたりのロッテ(1949年) - ドイツを中心に、何度も映画化されている。劇団四季が子供向けのミュージカルとして上演している。後に『わたしとわたし ふたりのロッテ』としてアニメ化。
  • わたしが子どもだったころ
  • 動物会議
  • サーカスの小人
  • サーカスの小人とおじょうさん - 「サーカスの小人」後日譚。

大人向け

  • 消えうせた密画
  • 雪の中の三人男
  • 一杯の珈琲から
  • ファービアン
  • ケストナーの「ミュンヒハウゼン男爵」 - 1943年にウーファー (映画会社)によって映画化。キャプションでは偽名で登場し、ヨーゼフ・ゲッベルスの怒りを買ったと言われている。

詩集

  • 腰の上の心臓
  • ある男が通告する
  • 鏡の中の騒音
  • 椅子の間の唱歌
  • 簡潔に
  • 日々の雑貨
  • 人生処方詩集
  • 自著一覧

参考文献

  • クラウス・コルドン 『ケストナー―ナチスに抵抗し続けた作家』 那須田淳・木本栄訳、偕成社、1999年。ISBN 4038142000
  • 高橋健二 (ドイツ文学者) 『ケストナーの生涯―ドレースデンの抵抗作家』 福武書店〈福武文庫〉、1992年。ISBN 4828832394 - 高橋は担当翻訳者でもある。

外部リンク


エーリッヒ・ケストナーに関するブログ記事
  • もれなくついてくる何か:エーミールと探偵たち/エーリヒ・ケストナー
    エーミールと探偵たち/エーリヒ・ケストナー. ケストナー第二弾。 『飛ぶ教室』にくらべるならば、こちらは純然たる子供向けといった感じでしょうか。 少年たちがどろぼうを協力してつかまえるという、いたってシンプルな筋書きでした。『飛ぶ教室』 ...
  • エーリッヒ・ケストナー/「飛ぶ教室」/講談社文庫刊 - ミステリ読書録 ...
    エーリッヒ・ケストナー「飛ぶ教室(山口四郎訳)」。 子どもだって、ときにはずいぶん悲しく、不幸なことだってあるのだ…。20世紀初頭。孤独なジョーニー、頭の切れるマルチン、腕っぷしの強いマチアス、弱虫なウリー、風変わりなゼバスチャン…
  • 飛ぶ教室/エーリヒ・ケストナー
    この本が出版されたのはナチスが政権をとった1933年だそうで、同じ年ケストナーはゲシュタポに逮捕されたりします。この本のなかにも、当時のドイツ情勢にたいしての、なにかしらの寓意がこめられているのかもしれません。ケストナーの態度表明といった部分 ...
  • エーリッヒ ケストナー『飛ぶ教室』:枕とおやつを持って!!:So-net blog
    作者: エーリッヒ ケストナー; 出版社/メーカー: 講談社; 発売日: 2003/12/10; メディア: 文庫. 読後のひと言「純粋な気持ちに、純粋な言葉」 舞台化を観てから読みました。 原作だけ読んだら、あの舞台化が見事すぎることがよく分かります。
  • 雪丸周辺雑記 : 飛ぶ教室 エーリヒ・ケストナー著
    この年の初め、ナチスが政権を取り、ケストナーの本は「反ナチス的」として図書館から消え、焚書処分にもなった。ペンを奪われた作家の憤怒が、形を変えて少年たちの鮮やかな日常の中に生きてくる。ただ怒り狂う方法ではなく、児童文学の1 ...
  • 『別府親と子の劇場』応援ブログ:「飛ぶ教室」公演があります
    執筆活動を続け た作家エーリヒ・ケストナーの名作を舞台化。 「子ども時代が人生に おいてどれほど大切か」を、 ドイツ・キルヒベルクにある寄宿学校を 舞台に、 思春期まっただ中の子どもたちと、 彼らを優しく見守る先 生たちとの交流を通して ...
  • 司書教諭・茉莉の気紛れ書き : エーリヒ・ケストナーはいかにして作られたか
    この本はドイツの小説家エーリヒ・ケストナーが、自分の子どものころと、その一族について書いたものです。ケストナーという作家はどのようにしてできたのか。一番影響を与えたのは、両親でしょう。両親は彼を教師にしたかったらしく、その教育 ...
  • 【ブックレビュー・オススメ本】(11):エーリヒ・ケストナー/「飛ぶ ... - Ameba
    たんぽぽモールの女子力UPたんぽぽモール公式ブログの記事、【ブックレビュー・オススメ本】(11):エーリヒ・ケストナー/「飛ぶ教室」です。
  • 今日の御言葉!!「エーリッヒ・ケストナー」 - 萩原朔美ブログ
    人生を愛せよ、死を思え、時が来たら誇りをもって脇へどけ」. エーリッヒ・ケストナー. 「脇へ」どくタイミングは考えないとねー。 Permalink | コメント(0) | トラックバック(0) | 11:46. コメントを書く. スパム対策のためのダミーです。もし見えても何も ...
  • 明日から2月です!!! - 絵本大好きばばギャル日記
    しかし、両親が別れないために不幸な子どもも、同じだけいるのだ・・・》・・・エーリッヒ・ケストナー とあります。 はじめに読んだ頃よりも心 ... ちなみにエーリッヒ・ケストナーは「飛ぶ教室」や「エーミールと探偵たち」の作者です。 ジャンル:: きいて!

エーリッヒ・ケストナーに関するニュース

ニュースはありません。