Darwin, Charles Robert

チャールズ・ダーウィン

ダーウィン
Darwin, Charles Robert
1809年02月12日~1882年04月19日
[イギリス] [自然科学]

[チャールズ・ダーウィン 人物情報]

イギリスの生物学者。進化論の確立者として知られる。
1809年シュールズベリで生まれ、ケンブリッジ大学神学部を卒業後、海軍の測量船ビーグル号に乗船して1831年から5年かけて世界周航した。航海の途上、ガラパゴス諸島のフィンチの事例などから生物の進化を確信した。
1858年に進化論を論文発表し、翌年『種の起源』を刊行した。進化論は宗教界から激しい反発を受け、ダーウィン自身は加わらなかったものの、10年間にわたって論争が繰り広げられた。

Wikipediaの人物情報

チャールズ・ロバート・ダーウィンCharles Robert Darwin, 1809年2月12日 - 1882年4月19日)はイギリスの自然科学。卓越した地質学者・生物学者で、種 (分類学)の形成理論を構築。

全てのに一貫した理論的説明を与え、生物学の基盤をなしている。

進化論の提唱の功績から今日では生物学者と一般的に見なされる傾向にあるが、自身は存命中に地質学者を名乗っており、現代の学会でも地質学者であるという認識が確立している。

概要

エディンバラ大学で医学、ケンブリッジ大学でキリスト教神学を学んでいるときに自然史への興味を育んだ。5年にわたるビーグル号での航海は彼をチャールズ・ライエルの斉一説を理論と観察によって支持した著名な地理学者として確立した。またその航海記は人気作家としての地位を固めた。ビーグル号航海で集めた野生動物と化石の地理的分布は彼を悩ませ、種の変化の調査へと導いた。そして1838年に自然選択説を思いついた。そのアイディアは親しい数人の博物学者と議論されたが、より広範な研究に時間をかける必要があると考えた。

理論を書き上げようとしていた1858年にアルフレッド・ラッセル・ウォレスから同じアイディアを述べた小論を受け取った。二人の小論は即座に共同発表された。1859年の著書『種の起源』は自然の多様性のもっとも有力な科学的説明として進化の理論を確立した。『人間の由来と性に関連した選択』、続く『人及び動物の表情について』では人類の進化と性選択について論じた。植物に関する研究は一連の書籍として出版され、最後の研究はミミズが土壌に与える影響について論じている。

ダーウィンの卓越性はみとめられ、19世紀において王族以外で国葬が執り行われた五人のうちの一人となった。ウェストミンスター寺院でジョン・ハーシェルとアイザック・ニュートンの隣に埋葬されている。2002年英国放送協会が行った「100名の最も偉大な英国人」投票で第4位となった。

経歴

生い立ち

チャールズ・ダーウィンは、裕福な医師で投資家だった父ロバート・ダーウィンと母スザンナの間に、6人兄弟の5番目の子供(次男)として、1809年2月12日にイングランド、シュロップシャーシュルーズベリーで生まれた。父方の祖父は高名な医師・博物学者であるエラズマス・ダーウィンであり、母方の祖父は陶芸家・企業家であるジョサイア・ウェッジウッドである。

祖父同士は博物学者として、父ロバートと叔父ジョサイア2世(母スザンナの弟)は実業家としてダーウィン家とウェッジウッド家は親密であり、両親など数組の婚姻が結ばれ、近しい姻戚関係にあった。母スザンナはダーウィンが8歳の時に没し、キャロラインら3人の姉が母親代わりをつとめた。ロバートは思いやり深かったが、妻の死によって厳格さを増し、子供たちには厳しく接することもあった。

ウェッジウッド家はダーウィンの誕生当時は既に英国国教会を受け入れていたが、両家とも元々は主にユニテリアン教会の信徒だった。ダーウィン家はホイッグ党の急進的でリベラルな考え方に同調していた。一族の男性は密かな自由思想家で非宗教的だったが、父ロバートはしきたりに従って子どもたちに英国国教会で洗礼を受けさせた。しかしダーウィンは兄妹や母と共にユニテリアンの教会へ通った。

幼少期

子供のころから博物学的趣味を好み、8歳の時には植物・貝殻・鉱物の収集を行っていた。父ロバートは祖父とは異なり博物学に興味はなかったが、園芸が趣味だったため幼少のダーウィンは自分の小さな庭を与えられていた。また祖父と同名の兄エラズマスは化学実験に没頭しておりダーウィンに手伝わせた。ダーウィンは兄をラズと呼んで慕った。

1818年からシュルーズベリーのボーディングスクールで学んだ後、16歳(1825年)の時に父の医業を助けるため親元を離れエディンバラ大学で医学を学ぶ。しかし、人間の流血沙汰が苦手で、また昆虫採集などを通じて実体験に即した自然界の多様性に魅せられていたことから、麻酔がまだ導入されていない時代の外科学手術や、アカデミックな内容の退屈な講義になじめず、1827年に大学を去ることになる。

その他の研究

によるポートレイト(1868年)フジツボの分類、サンゴ礁の形成と分化、ハトの飼育品種の改良、ミミズによる土壌形成の研究などでも業績を残している。これらの研究それぞれ単独でも生物学史上に名声を残すだけの成果を挙げているため、進化論の理論的構築がなくても生物学史上に名を残す著名な生物学者となったであろうとする評価もある。

『ビーグル号航海の地質学』の最初の巻「サンゴ礁の構造と分配」(1842年)では、多様な様式の珊瑚礁の成立要因を考察した沈降説を唱えた。これはダーウィンの死後たびたび掘削試験が行われたが、1952年に核実験に伴う大規模な掘削調査で得られたデータにより、ようやく仮説が正しかったことが確認された。フジツボの分類学研究によるモノグラフ(1851年)は、今日でもフジツボの分類学研究の基本文献となっている。

マダガスカルのラン科植物 アングレカム・セスキペダレ の花に特異に発達した長大な距の形状に着目し、その距の奥から蜜を吸い得る長い口吻を持つ昆虫がいるはずだと予想した(「昆虫によるランの受精についての論考」1862年)。ダーウィンの死後、この距の長さと同等の27cmの長さの口吻を持つスズメガ(キサントパンスズメガ)が発見された。こうした現象を引き起こす進化の様式は、今では共進化と呼ばれている。ヒトの由来についても、類人猿でヒトと近縁の種がアフリカにしか生息しないことから、アフリカで誕生したと予想した。これもダーウィンの死後にその予想が正しかったことが明らかになっている。

息子のフランシス・ダーウィンと共に、主にイネ科植物のクサヨシの幼葉鞘を用い、光屈性に関する研究を行った。幼葉鞘の先端で光を感知し、その刺激が下部に伝達されて屈曲を引き起こすと結論し、1880年に『The Power of movement in plants(植物の運動力)』と題した著書を記している。その後、他の研究者らにより、刺激を伝達する物質の研究が行われ、植物ホルモンの一つであるオーキシンの発見へとつながった。

ビーグル号航海から帰国してすぐに発表されたミミズの働きに関する小論は、当時はミミズにそれほどの力はないと考えられていたため、批判を受けたが、最後の著作『ミミズと土(ミミズの作用による肥沃土の形成及びミミズの習性の観察)』(1881年)では40年にわたる研究結果がまとめられている。これはややミミズの働きを誇張していると言われるものの、ミミズと土壌に関する明快な論文と言う面と、現在を研究することによっていかにして過去を知りうるかについての隠された論議という面を持っている。

晩年

1880年に兄エラズマスが闘病生活のすえ没すると、彼を慕っていたダーウィン一家は悲しみ、「頭が良く、慈愛に満ちた兄だった」と述べた。

年をとったダーウィンは次第に疲れやすくなったが、研究を止めることはなかった。特に家に残っていたフランシスと娘たち、使用人が研究を手伝った。晩年の楽しみはエマのピアノと小説の朗読で、特に古典よりも流行の小説を好んだ。彼の進化に関する実験と観察は、ツタ植物の運動、食虫植物、植物の自家受粉と他家受粉の影響、同種の花の多型、植物の運動能力にまで及んだ。1881年の最後の本では若い頃の関心に立ち戻り、ミミズが土壌形成に果たす役割を論じた。

1882年明けから心臓に痛みを覚えるようになり体がいっそう不自由になった。1882年4月19日にダウン村の自宅で死去した。彼はダウン村のセントメアリー教会に葬られると考えていたが、同僚たちは科学の優位性を一般の人々に印象づける好機と見なした。フッカー、ハクスリー、ジョン・ラボックといった友人たち、王立協会会長ウィリアム・スポティスウッド、フランシス・ゴルトンらは家族を説得し、報道機関に記事を書き、教会と王室、議会に働きかけた。ダーウィンは同年4月26日に国葬に付されウェストミンスター寺院に埋葬された。

妻エマは1896年にダウンで没し、先に亡くなった兄エラズマスと同じくダウンの墓地に葬られている。ニューヨークタイムズ紙はダーウィンの死去の特集記事で「進化論を発見したのではなく、アリストテレスの時代からあった生物の疑問を科学的に解決したのだ」と述べた

記念

ダーウィンの生涯を通して多くの生物種と地名が彼にちなんで名付けられた。アンデス山脈のダーウィン山は25回目の誕生日を祝して名付けられた。ビーグル号が1839年に第三回目の航海でオーストラリア北岸を調査していたとき、友人の船乗りジョン・ロート・ストークスが発見した湾はポート・ダーウィンと名付けられた。その付近に作られたパーマストン入植地は1911年に正式にダーウィン (ノーザンテリトリー)と改名された。ガラパゴス諸島で発見したフィンチ類は1947年のデイビッド・ラックの著書によってダーウィンフィンチとしてよく知られるようになった。もっともダーウィンフィンチはフィンチ類よりもアメリカフウキンチョウかホオジロに近縁である。

1992年にマイケル・ハーストの「史上もっとも影響力があった人物」の16位にランクされた。BBCの後援によって行われた2004年のイギリスの調査で、「もっとも偉大なイギリス人」の4位に選ばれた。2000年にはチャールズ・ディケンズに代わって10ポンド貨幣のモデルとなった。ロンドン王立協会は優れた進化生物学者に1892年以降2年に一度ダーウィン・メダルを授与する。ロンドンリンネ学会は1908年以降ダーウィン=ウォレス・メダルを授与している。ダーウィン賞は「自身を取り除くことによって我々の遺伝子プールを改善した」個人に与えられるユーモアの賞である。

2009年記念

ダーウィンの誕生200周年と『種の起源』出版150周年記念の催しが世界中で行われた。「ダーウィン展」はアメリカ自然史博物館で開催したあとにボストン、シカゴ、カナダのトロントで行われ、イギリスでは“ダーウィン200プロジェクト”の一環として2008年から2009年にかけて行われた。日本では2008年に東京、大阪などで行われた。関連書籍も多く出された。

ケンブリッジ大学は2009年7月にフェスティバルを開催。イギリスでは2ポンド記念硬貨が発行された。2008年9月に英国国教会は「あなたを誤解し、最初の我々の反応が誤りだったためにまだ他の人々があなたを誤解していることに対して」謝罪する意思を表明した。

著作

主な邦訳著書

  • 『種の起源』 〈上・下〉、八杉龍一訳、岩波文庫、1990年 <上>ISBN 4003391241 <下>ISBN 400339125X
    • 『図説種の起源』 リチャード・リーキー編、吉岡晶子訳、東京書籍 1997年
    • 『種の起原 第6版』 堀伸夫・堀大才訳、朝倉書店 2009年
    • 『種の起源』 〈上・下〉 渡辺政隆訳、光文社古典新訳文庫、2009年9月-12月
  • 『ビーグル (帆船)航海記』〈上・中・下〉 島地威雄訳、岩波文庫、初版1959~61年  <上>ISBN 4003391217 <中>ISBN 4003391225 <下>ISBN 4003391233
    • 『ビーグル号世界周航記 ダーウィンは何をみたか』、荒川秀俊訳  築地書館、改訂版1979年/ 講談社学術文庫、2010年 ISBN 4062919818
  • 『ミミズと土』 渡辺弘之訳、平凡社ライブラリー、1994年 ISBN 4582760562
  • 『ダーウィン自伝』 八杉龍一ほか訳、新版ちくま学芸文庫、 2000年 ISBN 4480085580
  • 『ダーウィン著作集.1 人間の進化と性淘汰Ⅰ』 ISBN 4829901217
  • 『ダーウィン著作集.2 人間の進化と性淘汰Ⅱ』 ISBN 4829901225
  • 『ダーウィン著作集.3 植物の受精』 文一総合出版、1999~2000年 ISBN 4829901233
  • 『よじのぼり植物―その運動と習性』 渡辺仁訳、森北出版、1991年、新版2009年 ISBN 4627260792
  • 『人及び動物の表情について』 岩波文庫、初版1931年 (復刊1991年)ISBN 4003391276

脚注

参考文献

  • 『ダーウィニズム論集』 八杉龍一編訳、岩波文庫、1994年
  • 『現代思想ダーウィン 「種の起源」の系統樹』 2009年4月臨時増刊号、青土社
  • 『進化論の時代 アルフレッド・ラッセル・ウォレス=ダーウィン往復書簡』 新妻昭夫編訳・解説、みすず書房、2010年 
  • ピーター・J. ボウラー 『チャールズ・ダーウィン 生涯・学説・その影響』 横山輝雄訳、朝日新聞社〈朝日選書〉、1997年。ISBN 4022596716。
  • 松永俊男 『ダーウィンをめぐる人々』 朝日新聞社〈朝日選書〉、1987年。ISBN 4022594438。
  • 松永俊男 『チャールズ・ダーウィンの生涯 進化論を生んだジェントルマンの社会』 朝日新聞出版〈朝日選書〉、2009年8月。ISBN 402259957X  
  • レベッカ・ステフォフ, 西田美緒子 訳 『ダーウィン - 世界を揺るがした進化の革命』(オックスフォード科学の肖像) 大月書店 2007年 ISBN 978-4272440412
  • エイドリアン・デズモンド, ジェイムズ・ムーア, 渡辺政隆 訳 『ダーウィン - 世界を変えたナチュラリストの生涯』 工作舎 1999年 ISBN 978-4875023166
  • ミア・アレン, 羽田節子・鵜浦 裕訳『ダーウィンの花園』工作舎 1997年 ISBN 4-87502-275-1
  • ローレン・アイズリー, 垂水雄二訳『ダーウィンと謎のX氏』工作舎 1990年 ISBN 4-87502-275-1
  • ジリアン・ビア, 富山太佳夫解題, 渡部ちあき・松井優子訳『ダーウィンの衝撃』工作舎 1998年 ISBN 4-87502-296-4
  • ダニエル・P・トーデス, 垂水雄二訳『ロシアの博物学者たち』工作舎 1992年 ISBN 4-87502-205-0
  • デズモンド・キング=ヘレ, 和田芳久訳『エラズマス・ダーウィン』工作舎 1993年 ISBN 4-87502-217-4
  • アラン・ムーアヘッド  浦本昌紀訳『ダーウィンとビーグル号』 早川書房 1982年
  • スティーヴン・ジェイ・グールド「マラケシュの贋化石進化論の回廊をさまよう科学者たち」(原題 The Lying Stones of Marrakech) 早川書房 2005年

関連項目

  • ダーウィン (ノーザンテリトリー)
  • ダーウィニズム
  • ジョサイア・ウェッジウッド
  • ダーウィン・メダル
  • ダーウィンフィンチ
  • ダルウィノプテルス
  • 自然選択(自然淘汰)
  • 性選択(性淘汰)
  • 進化医学(ダーウィン医学ともいう)
  • 資本論 - 進化論が唯物史観の着想に寄与したとしてカール・マルクスから第一巻を献本された。
  • ダーウィンの悪夢 - ドキュメンタリー映画
  • クリエーション (2009年の映画) - ダーウィンが「種の起源」を著すまでを描いた映画

外部リンク


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